「黒ビール」とは、色が黒いビールのこと。
なぜ色が黒いのでしょうか?何気なく飲んでいた黒ビールでも、実は種類がたくさんあります。
伝統的な世界の黒ビールから、人気の黒いクラフトビールまで!黒ビールの魅力を紹介します。
目次
黒ビールとは?
「黒ビール」とは、濃色麦芽を原料の一部に使った、色の濃いビールの総称です。
「黒ビール」というビアスタイルがあるのではなく、色が黒っぽいビールがそう呼ばれています。
真っ黒なものから、やや焦げ茶色をしたものまで、さまざまな種類があります。
黒ビールの種類
「黒ビール」と呼ばれるビールは、原料や発酵方法、発祥国もさまざまです。
主原料の麦芽には、大麦だけでなく小麦を使う黒ビールもあり、発酵方法もエールとラガーのどちらもあります。
ひとくくりに「黒ビール」といっても、ビアスタイルによって、味わいに違いがあります。
ポーター
【発祥国】イギリス
【発酵方法】上面発酵(エール)
18世紀初めのロンドンで流行していたブレンドビールをもとにして生まれた黒ビールです。
名前の由来は、当時の荷役運搬人(ポーター)に人気だったことや、パブに樽が到着した際、「ポーター!(届いた)」と声をかけた説などがあります。
麦芽によるコーヒーやチョコレートのような香り。やや濃い茶色でコクのある「ブラウンポーター」と、黒色でシャープな苦味の「ロブストポーター」があります。
シュバルツ
【発祥国】ドイツ
【発酵方法】下面発酵(ラガー)
ドイツのバイエルン地方が発祥といわれる黒ビールです。
シュバルツとは、ドイツ語で「黒」の意味。その名の通り、見た目は深いブラック。ロースト麦芽の風味が感じられ、ビターチョコのようなほろ苦さとやさしい甘味があります。
下面発酵でつくられるため、見た目ほどの重さはなく、ラガーらしいすっきりとした味わい。ドイツを代表する文豪ゲーテが愛したビールでもあります。
スタウト
【発祥国】アイルランド
【発酵方法】上面発酵(エール)
ロンドンで流行していたポーターが、アイルランドに伝わって進化した黒ビールです。
アルコールを強化して、麦芽やホップを増やした「スタウトポーター」が起源といわれています。
麦芽化していない大麦を焦がして使うため、真っ黒で、苦味が強いことが特徴的。
スタウトとは、英語で「強い、どっしりとした」という意味で、その名の通り、重厚で力強い味わい。アルコール度数が7.0%〜12.0%と高めの「インペリアルスタウト」もあります。
デュンケル
【発祥国】ドイツ
【発酵方法】下面発酵(ラガー)/上面発酵(エール)
ミュンヘンで誕生した黒ビールです。
デュンケルとは、ドイツ語で「暗い」の意味で、その名の通り、茶色っぽいダークな色合い。ホップの苦味より麦芽の風味が強く感じられ、口当たりはマイルド。
デュンケルは大きく2種類あり、ミュンヘンでつくられる伝統的なラガービール「ミュンへナーデュンケル」と、小麦麦芽を使用したエールビール「デュンケルヴァイツェン」があります。
黒ビールの選び方
黒ビールは、自分好みの「味わい」や、飲んだときの口あたりなどの「飲み口」から選ぶのがおすすめ。
これがわかるとペアリングの幅が広がります。黒ビールには、食事だけでなく、デザートと相性が良いビールもたくさんあります。
種類の違いで選ぶ
まずは、ビアスタイルや原料の種類に注目してみましょう。
黒ビールに使われる「濃色麦芽」には、「チョコレート麦芽」や「カラメル麦芽」などがあり、コーヒーやナッツのような風味や、カカオを使わなくてもチョコレートのような味わいをつくり出します。
焙煎した麦芽の香ばしさやコクは、黒ビールならでは。
クラフトビールでは、使用する副原料との組み合わせで、スイーツのような味わいを持つ個性的な黒ビールもあります。
黒ビールは冷やし過ぎず、ぬるめの10℃〜12℃ぐらいがおすすめです。
香りが際立ち、まろやかな味わいが楽しめます。
製法の違いで選ぶ
一般的な黄金色のビールと同様、黒ビールのエールはコクと香り、ラガーはすっきりとしたのど越しが特徴です。
ソーセージやステーキなど、ガッツリとした肉料理と合わせるなら、ラガー系の黒ビール。
チーズやナッツ、ドライフルーツなどのおつまみと一緒に楽しむならエール系の黒ビールのように、発酵のタイプで選ぶこともポイントです。
アルコール度数が高い黒ビールは、食事の締めや、リラックスタイムの1杯として、じっくりと味わうのがおすすめ。
黒ビールには「インペリアルスタウト」のようなアルコール度数が7.0%〜12.0%と高いスタイルもあります。
おすすめの黒ビール5選
おすすめ①:【NORTH ISLAND BEER】CORIANDER BLACK<コリアンダーブラック>
NORTH ISLAND BEER(ノースアイランドビール)の『コリアンダーブラック』は、ハーブを使ったユニークな黒ビールです。
ビアスタイルは「ハーブ・スパイスエール」。
濃厚な黒ビールにコリアンダーを使用し、華やかで爽やかな香りと黒ビールの豊潤で深いコクが見事にマッチした、味わい深いフレーバービールです。
飲みごろ温度は、香りが引き立つ7~10℃がおすすめ。
2008年のジャパン・アジア ビアカップで、銀賞を受賞した人気のビールです。
北海道江別市にあるノースアイランドビールでは、地元素材を使ったこだわりのビールづくりを行なっています。
>> 【NORTH ISLAND BEER】CORIANDER BLACK<コリアンダーブラック>
おすすめ②:【REVO BREWING】『KINACO』
REVO BREWING(レボブルーイング)の『KINACO』は、厳選した深煎りの「京きな粉」を使った、和のスタウトです。
その味は、まるで飲む信玄餅!京きな粉の豊かな香ばしさがしっかりと感じられ、甘味の残る製法や乳糖により、ほんのりとした甘さもあるバランスの良い味わい。
食事からデザートまで、さまざまなペアリングが楽しめるよう、アルコール度数は5.0%と低めにつくられています。
横浜湾岸エリアにブルワリーレストランを構えるREVO BREWINGでは、飲んだ人の「特別な一杯」になるような、個性が光るビールをつくっています。
おすすめ③:【高知カンパーニュブルワリー】TOSACO≪黒糖スタウト≫
高知カンパーニュブルワリーの『TOSACO 黒糖スタウト』は、黒糖を使った黒ビールです。
高知県芸西村で江戸時代から伝承されている「白玉糖」という砂糖づくり。
この白玉糖を使用することで、やさしい甘味とすっきりとした苦味のドライスタウトに仕上がっています。
色や香りが楽しめるよう、ワイングラスで飲むのがおすすめ。
ショートケーキやクリームブリュレ、酸味のあるいちごなどのフルーツとも相性抜群です。
高知カンパーニュブルワリーでは、まだ知られていない、高知だけの素材を使ったビールにこだわっています。いつもの黒ビールとは、ひと味違う美味しさが体験できます。
>> 【高知カンパーニュブルワリー】TOSACO≪黒糖スタウト≫
おすすめ④:【石川酒造】多摩の恵デュンケル
石川酒造の『多摩の恵デュンケル』は、麦芽のコクと甘味が特徴の黒ビールです。
ビアスタイルは、ドイツ伝統のデュンケル。
5種類の麦芽を使用し、やさしい甘さを引き出すために、醸造方法や煮沸時の温度管理にも工夫をしています。苦味は控えめでコクと深みのある味わい。
麦芽によるロースト香やキャラメル香が複雑に絡み合う、魅惑の黒ビールに仕上がっています。
東京都福生市にある石川酒造は、明治期にビール醸造をしていた歴史があり、1998年に「多摩の恵」の名でビール醸造を再開。清酒づくりにも使用する自社地下天然水を贅沢に使ったビールをつくっています。
おすすめ⑤:【結城麦酒醸造】ショコラ
結城麦酒醸造の『ショコラ』は、まるで高級チョコレートのようなスタウトです。
冷やしても、常温でも、お燗をして温めることも!さまざまな飲み方で、チョコレートのようなコクと苦味が堪能できます。
夏はバニラアイスを浮かべて、スイーツ感覚で飲むのもおすすめ。デザートとの相性も抜群です。
結城麦酒醸造は、茨城県結城市にある醸造所です。
あくまでも手作りにこだわり、地元産の原料を使ったビールをつくっています。
1回の最大仕込量は、わずか150リットル。小さな醸造所だからこそできる、オリジナリティあふれるビールを生み出しています。
まとめ
ビールに詳しくない人でも、誰もが知っている「黒ビール」。
いつものビールとは気分を変えて冒険したいと思った時に、まず思い浮かぶのが黒ビールではないでしょうか。
ひとくくりで「黒ビール」といっても、よく見るとさまざまな種類があって、味わいもバラエティに富んでいます。
クラフトビールの販売サイトでは、黒いビールだけでもたくさんの商品があります。
小規模醸造所ならではの個性的なビールも次々登場していますので、ぜひ自分好みの味わいを見つけてみてください。
クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。
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