飲食店のテイクアウトが普及するようになり、クラフトビールの持ち帰りが広がりつつあります。
瓶や缶のビールではなく、お店のタップから注いだビールを専用容器「グラウラー」に詰めて持ち帰るという新たな習慣。
日本では目新しく感じますが、クラフトビールが盛んなアメリカでは、ビールの量り売りは一般的です。
いまやビール好きには常識ともいえるグラウラーの基礎知識と、クラフトビールの新しい楽しみ方について紹介します。
目次
グラウラーとは
「グラウラー」とは、ビールを持ち運ぶことができる炭酸対応の容器のこと。
もともとはアメリカを中心とした海外のビール醸造所で量り売りをする際に使われてきた容器ですが、最近の飲食店のテイクアウト需要の高まりなどにより、日本でも注目されるようになりました。
主に、保冷効果のあるステンレス製のものが人気で、長時間保冷できる構造のもの、サーバーのように注ぎ口がついた大容量のものなど、さまざまなタイプが販売されています。
水筒との違い
グラウラーと普通の水筒との違いは、耐圧性があり、炭酸飲料が入れられること。
グラウラーは、炭酸をキープすることに優れていて、ビールを入れることを目的に設計されています。
ビールを美味しく持ち運ぶには、どのような容器でもよいわけではありません。
密閉できないと炭酸が抜けてしまい、圧力に耐えられないと、爆発してしまうこともあります。
グラウラーがビール好きに人気な理由
グラウラーが人気な理由は、瓶や缶で販売されていないビールの持ち帰りができること。
自宅では飲めなかった味を、好きなタイミングで楽しめるのは、ビールファンにとっては最大の魅力です。
ビール好きの間では、グラウラーを持ってビールを買いに行くことを「クラフトビールを汲みに行く」と表現されます。
グラウラーは、見た目もスタイリッシュなものが多く、それを持って、おしゃれなビアバーにクラフトビールを汲みに行くことも、ビール通の新たなトレンドとなっているようです。
旅行の際には、気になるブルワリーに立ち寄って、ビールを詰めてもらうこともできます。
旅の途中の好きなタイミングで、美味しいビールが冷たく飲める。新たなビールの楽しみ方として、グラウラーで「クラフトビールを汲みに行く」という文化が出来つつあるようです。
グラウラーの上手な選び方
いつものビア活がさらに楽しくなるグラウラーですが、種類がありすぎてわからない、ということも。グラウラーには、さまざまな形状やサイズのものがあり、素材や構造、機能も異なります。どんな用途で使うかによっても選び方は変わってきます。ここでは、自分にぴったりのグラウラーを選ぶための、3つのポイントを紹介します。
① 素材ごとの機能性を考慮して選ぶ
グラウラーは大きく分けて「ステンレス製」と「ガラス製」があります。
「ステンレス製」のグラウラーは、水筒と同じように使える形状で、持ち運びに便利。ガラス製に比べて軽く、保冷性が高くて、丈夫で衝撃にも強いことが特徴です。容量は300ml程度から1リットルを超えるものまであり、ビールサーバーのように注ぎ口が取り付けられるタイプもあります。
「ガラス製」のグラウラーは、比較的安くて、初心者にも手に取りやすい商品です。保冷機能はありませんが、氷や冷蔵庫で直接冷やせるので、量り売りのビールを自宅で楽しみたい人にはぴったりです。衝撃には弱く、落としたら割れてしまいますが、匂いがつきにくく、洗浄もしやすいため、お手入れが簡単です。
② 構造の違いもチェック
グラウラーの構造には「シングルウォール構造」と「ダブルウォール構造(真空魔法瓶)」があります。主に、シングルウォールがガラス製、ダブルウォールがステンレス製のグラウラーに多い構造です。これらは保冷性に関わっています。
ダブルウォールとは、本体が二重の真空断熱構造になっている魔法瓶タイプのこと。長時間の保冷ができるほか、ビールの炭酸圧力に耐えられるようにできています。外出先でも炭酸の爽快感がある、キンキンに冷えたビールが楽しめます。
シングルウォール構造であるガラス製のグラウラーは、ビールを容器ごと氷や冷蔵庫などで冷やしてから飲むのが前提なので、持ち運びには不向きです。
③ 気分が上がるデザインかどうかも大切なポイント
グラウラーは、ブランドによって色やデザイン、手に持った質感もさまざまです。いつも一緒に持ち歩きをするグラウラーなら、気分が上がるデザインであることも大切なポイントです。
デザインを重視して選ぶなら、人気のブランドをチェックしてみましょう。最近では、クラフトブルワリーとのコラボデザインのグラウラーも続々と登場しています。
大好きなブルワリーがあるなら、ぜひ入手して、そのブルワリーのビールを汲みに行きましょう。ファンとしては、最高の楽しみ方です。
おすすめのグラウラー5選
いま話題のブルワリーからもオリジナルデザインのグラウラーが登場しています。ビールを入れることを前提としているので、機能性は抜群です。いつでも手軽に持ち運べるように、容量や重量をチェックして、使いやすいものを選びましょう。カラーバリエーションも豊富なので、ぜひ、お気に入りのグラウラーを見つけてみてください。
・銚子ビール犬吠醸造所(千葉県)
銚子ビールのグラウラーは、容量20oz(592ml)。たっぷりサイズでありながらも、343gと軽量です。キャップの取り付けや取り外しも簡単。醸造所がある犬吠埼の灯台と初日の出をモチーフにしたロゴ入りグラウラーで、気分もチョウシも上がります!
・ふたこビール醸造所(東京都)
ふたこビールのグラウラーは、ビールの原料である麦の穂をあしらったロゴマークに、優しい色合いがマッチしたナチュラルなデザインです。容量は20oz(592ml)、真空断熱ボトルで36時間保冷可能。1秒で開けられるキャップも便利です。
・Y.Y.G. Brewery(千葉県)
Y.Y.G.Breweryでは、醸造所併設のタップルームでビールがテイクアウトできます。Y.Y.G.オリジナルデザインのグラウラーにブルワリーのビールを詰めてもらえば、気分が上がること間違いなし!お気に入りの一杯を、スタイリッシュに汲みに行きましょう。
・宮島ビール(広島県)
宮島ビールのロゴでもあり、ブルワリーがある広島・宮島といえば有名な「鹿」がデザインされた、おしゃれなグラウラーです。容量20oz(592ml)で、36時間の保冷が可能。宮島ブルワリーにこのグラウラーを持参すると、量り売りのビールがお得に買えるそう。
・ホップガーデンブルワリー(福島県)
ブルワリーのシンボルでもあるホップがデザインされた Hop Japanのグラウラーは、シックでマットなカラーバリエーションです。持ち歩きに便利な小(592ml)のほか、レジャーやアウトドアにも大活躍の大(950ml)もあります。
グラウラーのメリットとデメリットを知っておこう
ビアギークなら、ぜひ入手しておきたいグラウラーですが、便利さもあれば、少し不便に感じることも。ここでは、楽しみ方や利用シーンなどにおけるメリットから、取り扱いやビールの購入時にありがちなデメリットをまとめました。
グラウラーのメリット
グラウラーのメリットは、瓶や缶では飲めないレアなビールをテイクアウトして、家族や友人と、好きなようにシェアできること。
自宅だけにとどまらず、アウトドアやホームパーティーなど、さまざまなシーンで大活躍です。
ここでは、新しいビールの楽しみ方における、グラウラーのメリットをまとめました。
持ち運びをしやすい
持ち運びのしやすさは、アウトドアでビールを楽しむときの最大のメリットです。
グラウラーの容量は、外出中に1杯だけ楽しむ350ml程度のものから、500mlや1Lを超える大容量サイズもあります。
ピクニックやキャンプの場合、何本ものビールを運ぶとなると、かさばることや、瓶の場合はさらに重さが加わります。
大容量のグラウラーなら、オプションで注ぎ口をつけられるタイプや、サーバー仕様になっているものもあるので、持ち運びできるビアサーバーとしても大活躍。
ホームパーティーで、美味しいビールを持ち寄ることもできるのです。
ビールを安く持ち帰りできる
量り売りのクラフトビールは、瓶や缶などの容器の値段が含まれない分、安くビールが購入できます。
ビアバーでビールを持ち帰る場合、店内で飲むより1割程度安く設定されていることが多いようです。
グラウラーは繰り返し使えるので、一度容器を購入してしまえば、ビールの料金だけで、たっぷりと美味しいビールが楽しめます。
テイクアウトなら、テーブルチャージもかからず、おつまみも外食するより経済的。自宅の料理と好きに合わせられることもメリットです。
好きな時間に冷たいビールが飲める
保冷機能つきのグラウラーなら、クーラーボックスや保冷剤も不要です。
シンプルな小型のグラウラーでも6時間程度は冷たさがキープできます。
ステンレス製の二重構造のグラウラーなら、24時間から36時間と長時間保冷できるタイプもあります。
キャンプやBBQ、スポーツ観戦など、アウトドアで冷えたビールを楽しみたい人におすすめです。
グラウラーがあれば、美味しいビールが飲みたくなったそのタイミングで、冷たいビールが飲めるのです。
グラウラーのデメリット
いいことばかりに思えるグラウラーですが、デメリットもあります。
ビールの美味しさを損ねてしまうことや、購入に不便なこともあるようです。ここでは、グラウラーでビールを楽しむ際に、注意しておきたいことをまとめました。
当日中に注いだビールを飲む必要がある
新鮮なビールの美味しさを損なう原因のひとつが、酸素との接触です。
ビールはタップから注いだ時点で酸素に触れて、酸化が始まります。
グラウラーの形状によっては、注ぐ際に、たくさん空気が入ることも。
あまりグラウラーの開け閉めを繰り返さず、その日のうちか、少なくとも翌日までには飲み切りましょう。
特に香りが特徴のクラフトビールは、香りが飛んでしまうことでも美味しさが半減してしまいます。
ペールエールやIPAなどのエール系ビールは、早めに飲むことがおすすめです。
複数のブルワリーを楽しむことが難しい
ビアバーのビールなら、どこでも持ち帰りで購入できるとは限りません。
飲食店のビールのテイクアウト販売(量り売り)には、酒類販売業免許が必要となります。
コロナ禍の緊急事態宣言で、国税庁が飲食店向けに「期限付酒類小売業免許」を交付することもありましたが、日本では、まだビールの量り売りに対応した店が少ないことが現状です。
身近な場所で、外出のついでに「クラフトビールが汲める」ことが理想ですが、遠くまで出かける必要がある人にとっては、手軽さがないようです。
手入れが面倒
グラウラーは、中に入れたビールを飲み切った後、すぐに内部を洗って、雑菌が繁殖しないようにしっかり乾燥させる必要があります。
乾燥後も、ほこりなどが入らないように、清潔な場所で保管します。ビールは繊細な飲み物です。
グラウラーの内部に汚れや匂いがついてしまうと、ビールの味を損ねる可能性があります。
量り売りのお店によっては、グラウラーの洗浄とアルコール殺菌をした後に、ビールを充填してくれますが、清潔ではないグラウラーの場合、断られてしまうこともあるようです。
グラウラーを取り扱うときの注意点
お気に入りのグラウラーとは末長く付き合いたいもの。繰り返し使えることがグラウラーのメリットですが、使っていくうちに、汚れや匂いが気になることも。保冷効果や炭酸の密閉効果を保つには、キャップやパッキンなどのお手入れも必要です。ここでは、お気に入りのグラウラーを長持ちさせるために、守っておきたい注意点をまとめました。
使うときの注意点
持ち運びができるコンパクトなグラウラーには、保温・保冷機能を兼ね備えていて、ビールを入れる以外に水筒として使えることを売りにしている商品もあります。しかし、コーヒーやハーブティーなど、香りが移りやすいドリンクと兼用することは、あまりおすすめできません。ビールの風味を損ねないように、あくまでも「ビール専用」として使いましょう。
入れたビールはできるだけその日のうちに。遅くても翌日までに飲み切ることも、匂い移りや劣化を防ぐポイントです。
洗うときの注意点
グラウラーは、中に入れたビールを飲みきった後、すぐに内部を温水と中性洗剤で洗います。何度かお湯を入れ替えながらすすぎ、逆さまにして乾かします。雑菌が繁殖するので水気を切り、よく乾燥させることがポイントです。
グラウラーの洗浄には、棒付きのスポンジが便利です。スポンジがボトルの底や隅々まで届き、ぐるりと回転させるだけで、内側を簡単に洗えます。
キャップやパッキンも分解して、温水と中性洗剤で洗った後、タオルの上でよく乾かしてから組み立てましょう。
どうしてもニオイが取れないときは、台所用漂白剤を薄めたものを注いでつけ置く方法もありますが、グラウラーによっては、洗浄に使用できるものが指定されている場合があります。取扱説明書をよく読んで対応しましょう。
なにより外出先では、飲み終わったらすぐに、水でさっとすすいでおくのが、おすすめです。
【番外編】ビールが持ち帰れるブルワリーをご紹介!
お気に入りのグラウラーを手に入れたら、さっそく美味しいクラフトビールを汲みに行きましょう。おすすめは、ブルワリー併設のタップルームやビアバーです。ビールのテイクアウトができるお店は限られていますので、お出かけ前にチェックしておきましょう。
・銚子ビール犬吠醸造所(千葉県)
銚子ビールは、日本で一番早く初日の出が見られる場所「犬吠埼灯台」のふもとにある商業施設「犬吠テラステラス」に醸造所併設のタップルームがあります。観光の際には、ぜひ旅のお供に、美味しいビールをグラウラーで連れていきましょう。
・ふたこビール醸造所(東京都)
ふたこビールは、おしゃれで人気の街、二子玉川駅近くに醸造所併設のブルーパブがあります。お買い物のついでにクラフトビールを汲めるのが魅力。グラウラーに美味しいビールを詰めて、多摩川でのんびり飲むのもおすすめです。
・Y.Y.G. Brewery(千葉県)
Y.Y.G.Breweryは、新宿駅南口近くに醸造所併設のブルーパブを構えています。都心で手軽にクラフトビールが汲めるホットスポット。定番ビールも幅広く扱っているので、ぜひグラウラーで、家族や友人と美味しいビールをシェアしてみてください。
・宮島ビール(広島県)
宮島ビールは、宮島の桟橋から徒歩7分の場所に醸造所併設のビアスタンドがあります。世界遺産「厳島神社」も近く、目の前には瀬戸内海が広がっています。グラウラーに詰めた美味しいビールを片手に、観光やお散歩するのも楽しいでしょう。
・ホップガーデンブルワリー(福島県)
ホップガーデンブルワリーは、自然豊かな阿武隈高原の中央にあるアウトドアパーク「グリーンパーク都路」の中にあります。保冷効果抜群のグラウラーで、冷たいビールを飲みながら、オートキャンプやディスクゴルフなどのアウトドアが楽しめます。
まとめ
グラウラーによって「クラフトビールを汲みに行く」という、新たなビールの楽しみ方が生まれました。このグラウラーでは満たせない部分を叶えてくれるのが、持ち運び可能なポータブルサーバー『飲ん樽』です。
日本全国のブルワリーから、200種類以上のビールが工場直送で購入可能。
サブスクではなく商品買い切りで、好きなビールを好きなタイミングで楽しめるところも魅力です。
『飲ん樽』は、電気やガスを使用せず、専用ポンプで内側の袋に圧力をかけてビールを抽出します。
空気に触れない構造で、酸化の心配もありません。当日に飲み切る必要もなく、数日に分けて美味しいビールが楽しめるのです。
自宅でも、アウトドアでも楽しめる、新しいビール体験。
ビールの縁側で『飲ん樽』の最新情報をチェックしてみましょう!
クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。
売れ筋ランキングでは週間ランキングや、クラフトビールの種類別ランキングが分かり、最近のトレンドが把握できます。これまで知らなかったクラフトビールに出会え、嬉しい発見ができるはず。
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