麦芽、ホップ、水に酵母を加え、発酵させてつくられるビール。
暑い夏に飲むと、最高に美味しく感じるお酒ですね。
そんなビールと似たお酒の1つが発泡酒です。
何となく違うもの、と理解はしているものの、具体的にどんな違いがあるのかを把握している方は少ないのではないでしょうか?
異なる定義を持つビールと発泡酒では、当然、味わいや香りに違いが出ます。
自分好みのビールを探すのであれば、まずはビールと発泡酒の違いを理解することが大切です。
そこで今回は、ビールと発泡酒の違いについて、それぞれの定義とともに解説していきます。
また、最近話題の第3のビールや、誰もが気になるビールの値段についてもまとめているので、ぜひこの記事を読んで、ビールに対する理解を深めてください。
目次
「ビール」と「発泡酒」の違いは原材料にあり!
ビールと発泡酒の大きな違いは原材料です。
具体的には、それぞれに使われている麦芽の比率(麦芽比率)と副原料が異なります。
ビールは麦芽比率が50%以上のものであると厳しく決められているのに対して、発泡酒は麦芽を使用していれば、その量については細かく問われません。
また、使用できる副原料についてもビールは制限されていますが、発泡酒は制限がなく、麦芽さえ使っていれば何を副原料にしてもOKとされています。
ビールの原料や副原料について、より詳しく知りたい方は下記のコラムをご覧ください。
ビールの定義について
先ほど、ビールは麦芽比率や使用できる副原料が決められているとお話しました。
そこで、次はビールの定義について解説していきます。
麦芽比率
前述の通り、ビールの麦芽比率は50%以上と定められています。
実はこの麦芽比率、以前はもっと厳しく「約67%以上」と定義されていました。
しかし、2018年4月、酒税法の改正に伴い、ビールの定義も変更され、麦芽比率が引き下げられたのです。
使用できる副原料
ビールに使用できる副原料は、次の通りです。
① 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮した果汁を含む。)
② コリアンダー又はその種
③ ビールに香り又は味を付けるために使用する次の物品
・ こしょう、シナモン、クローブ、さんしょうその他の香辛料又はその原料
・ カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ
・ かんしょ、かぼちゃその他の野菜(野菜を乾燥させ、又は煮つめたものを含む。)
・ そば又はごま
・ 蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ
・ 花又は茶、コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品
・ かき、こんぶ、わかめ又はかつお節
引用元:平成 29 年度税制改正によるビールの定義の改正に関するQ&A(国税庁)
副原料についても麦芽比率と同様、2018年4月の酒税法改正を機に新しく使用できるものが増えました。
具体的には、果実やコリアンダーなどの香味料を使用できるようになったのです。
ただし、これらの副原料の合計は、使用している麦芽の重量の5%以内でなければなりません。
改正後も変わらず厳しい定義があるビールですが、それでも麦芽比率や使用できる副原料が緩和されたことから、日本では従来よりも、バリエーション豊かな味わいのビールを楽しめるようになりました。
発泡酒の定義について
続いて、発泡酒の定義も見ていきましょう。
国税庁では、発泡酒を以下のように定義しています。
“発泡酒は、麦芽又は麦を原料の一部とした発泡性のある酒類で、具体的には、A 麦芽の使用割合が50%未満のもの、B ビールの製造に認められない原料を使用したもの、C 麦芽を使用せず麦を原料の一部としたものが該当します。
なお、発泡酒については麦芽の使用割合により税率が3分類に区分されています。”
簡単に言うと、麦芽を原材料とした酒類のうち、ビールに該当しない麦芽比率50%未満のもの、もしくはビールの定義を満たさない副原料を使用したものが「発泡酒」と呼ばれるのです。
ビールとクラフトビールの違い
ところで、ビールと言えば「クラフトビール」と呼ばれるものもあります。
クラフトビールは、上のような定義がされているビールと何が違うのでしょうか?
全国地ビール醸造者協議会(JBA)によると、クラフトビールには以下の3つの定義があります。
①大手ビールメーカーの傘下にない醸造所でつくられていること
②1回の仕込み量が20キロリットル以下の小規模な仕込みであること
③伝統的な製法を用いたり、地域の特産品などを原料に取り入れたりしてつくられていること
中でも③の定義が、クラフトビールを普通のビールとは異なる飲料にしていると言えるでしょう。
普通のビールよりも幅広い原料を使ってつくられるクラフトビールは、普通のビール以上に多種多様な味や香りを楽しめるものに仕上がっているのです。
>>クラフトビールの定義とは?起源や地ビールとの違いについて
最近注目の「第3のビール」との違いは何?
日頃からビールを嗜んでいる方なら、「第3のビール(新ジャンル)」という言葉を聞いたことがあると思います。
最近注目されている第3のビールについても、普通のビールと何が違うのか気になりませんか?
第3のビールには、次の2種類があります。
①麦芽をいっさい使わないもの
②発泡酒にスピリッツなど、別のアルコール飲料を加えたもの
つまり、麦芽比率50%以上でなければならない普通のビールに対して、第3のビールは必ずしも麦芽を使う必要がありません。この点がもっとも大きな違いと言えるでしょう。
また、麦芽を使ったとして、発泡酒よりもさらに幅広いアレンジをできるのが第3のビールです。
第3のビールが注目されている理由
なぜ第3のビールが注目されているのでしょうか?
一番の理由は「価格の安さ」によるものです。
ビールなどの酒類には、酒税がかかっています。
この酒税の税率は傾向として、麦芽比率が高いほど大きくなっています。
ビールは「麦芽比率50%以上」の定義があるため、酒税を抑えることができないのですが、第3のビールは麦芽比率に制限がないため、酒税を抑えることができるのです。
結果、商品自体の価格を安くすることができることから、気軽に手を出しやすいお酒として親しまれているのです。
「ビール」と「発泡酒」の値段と酒税について
先ほど、酒類には酒税がかかるというお話をしました。
そこで今度は、ビールと発泡酒の値段や酒税について解説していきます。
「美味しいビールを安く飲みたい」
そんな方こそ、ぜひご覧いただければと思います。
ビール類の酒税一覧
酒税法では、酒類にかかる酒税を、お酒の種類によって異なる税率に定めています。
ビール(発泡性酒類)の場合、以下の税率が適用されます。
酒税(350mlあたり) | |
ビール | 70円 |
発泡酒 | 46.99円 |
第3のビール(新ジャンル) | 37.8円 |
※2020年10月、酒税法改正後の税率です
これからはビール類の値段が統一されていく!
今後、日本では発泡酒や第3のビールを含めたビール系飲料の酒税率が一本化されると発表されています。
具体的には、次のように酒税が変更になるとのことです。
2020年10月 | 2023年10月 | 2026年10月 | |
ビール | 70円 | 63.35円 | 54.25円 |
発泡酒 | 46.99円 | 46.99円 | 54.25円 |
第3のビール(新ジャンル) | 37.8円 | 46.99円 | 54.25円 |
※いずれも350mlあたりの酒税です
表の通りに酒税が変化するとなると、ビールは商品価格が下がり、より購入しやすくなると考えられるでしょう。
一方で発泡酒や第3のビールは商品価格が上がると予想されるため、今のうちに心ゆくまで楽しんでおくことをおすすめします。
好みの味わいを見つけてビールや発泡酒を楽しもう
今回はビールと発泡酒の違いやそれぞれの定義、値段、そして第3のビールについても解説しました。
ひとくちにビールと言っても、その味や香りは実に多種多様です。
ビールが好きな方はもちろん、苦手という方も、色々な商品を試してみることで、きっと好みの味わいに出会えることでしょう。
その際は普通のビールや発泡酒と並行して、クラフトビールも試してみてはいかがでしょうか?
クラフトビールは、普通のビールや発泡酒以上にバリエーションが豊かなので、好みの味わいに出会える可能性がぐっと高まります。
ビールの縁側では、日本全国のクラフトビールをご用意しています。
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クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。
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