クラフトビール

ホップとは?ビール好きには常識の基礎知識とフレッシュホップについて

ビールづくりに欠かせない主原料のひとつである「ホップ」。

ビールの美味しさを構成する大事な要素であり、「ビールの魂」とも呼ばれています。

ホップにはたくさんの品種があり、個性的なホップの香りがきっかけで、クラフトビールにハマる人も多いそう。

最近では、使用しているホップをアピールした商品も登場し、ホップにこだわってビールを選ぶ人も増えています。

今回はビール好きなら覚えておきたいホップの基礎知識と、話題のフレッシュホップビールについて紹介します。

この記事の監修者

ビールの縁側 編集部

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ホップとは

ホップとは、アサ科カラハナソウ属のつる性の多年生植物です。

冷涼で乾燥した地域が主な産地で、世界的な名産地として、ドイツ東南部ハラタウ地方、ドイツ西南部テトナング地方、チェコ北西部ザーツ地方があります。

ホップは西アジア原産で、ヨーロッパに伝わったといわれています。

ビール醸造で使われるホップは、海外からの輸入が中心ですが、日本でも栽培されています。

国内ホップの主な産地は、北海道と東北地方の青森県・岩手県・秋田県・山形県です。その中でも日本一のホップ産地が、岩手県遠野市です。

ホップがビールに与える役割

ホップがビールに与える役割

ホップは、ビール特有の「香り」や「苦味」を作り出すだけでなく、口当たりや美味しさを保つ「泡持ち」や、ビールの品質を維持することにも関連しています。

ここでは、ホップがビールに与える役割について見ていきましょう。

ビールに苦味を与える

ビール醸造では、雌株のホップの果実「球花」が使われます。

ビール特有の苦味や香りを与える樹脂や精油は、この球花の中にある黄色い粒の「ルプリン」と呼ばれる器官にあります。

苦味の元は、ルプリン中の成分「アルファ酸」です。アルファ酸は、煮沸によって「イソアルファ酸」に熱変化することで、水に溶けやすくなり、ビールに特有の苦味を付与できるようになります。

ビールに香りを与える

ホップは常に品種改良が行われており、100種類以上もあるといわれています。

香りづけに特化した「アロマホップ」には、柑橘系のフルーツのような香り、華やかなフローラルな香り、青草のような香りなど、個性的な香りを持つ品種があります。

これらの香りを強調して付与するには、煮沸工程以降にホップを投入するなど、使用方法にも工夫があります。

ビールに泡持ちを与える

苦味を与えるホップの成分「イソアルファ酸」は、ビールの泡持ちや、泡の表面を強くする役割もあります。

ビールの泡に含まれるタンパク質とイソアルファ酸には、粘りや弾性を持たせる性質があり、炭酸ガスの気泡をコーティングして、クリーミーな泡の層を形成します。

ビールの泡は、ビール液より苦味があるといわれますが、これは苦味成分であるイソアルファ酸が泡の表面に集まっているためです。

ビールに殺菌効果を与える

ホップにはビールの腐敗を防ぐ、殺菌作用もあります。

冷凍機や殺菌法が開発される前の時代は、ホップの効果が重要視されていました。その特徴を最大限に活かしてつくられたのが「IPA(インディア・ペールエール)」です。

イギリスから当時植民地だったインドに船でビールを輸送する際、腐敗しないようにホップを大量に投入したことが始まりといわれています。

ビールがホップに使用されるようになった歴史

中世ヨーロッパのビールでは、薬草などを配合した「グルート」と呼ばれるものが使われていました。

ヨーロッパでも8世紀以降には複数の修道院にホップ園がありましたが、まだホップは使用されていません。

14〜15世紀頃、貿易中継都市として栄えたドイツのハンブルクでは、ビールの輸出が盛んに行われ、このときホップを使用したビールの優れた腐敗防止効果が注目されます。

ホップのほうが味わいもよく、徐々に主流となっていきました。

1516年、ドイツのバイエルンで公布されたビール純粋令では「ビールは大麦、ホップ、水のみを原料とすべし」とされ、グルートは完全に姿を消し、ホップはビール醸造に不可欠な原料となりました。

クラフトビールで有名なホップの品種

クラフトビールで有名なホップの品種

ホップには、大きく分けて「香りづけ」と「苦味づけ」の2つの役割があります。

香りづけには「アロマホップ」、苦味づけには、苦味成分の多い「ビターホップ」を使用します。

ここでは、覚えておきたい、クラフトビールに使われる有名なホップの品種を紹介します。

アロマホップ(フィニッシュホップ)

シムコー

「シムコー」は、アメリカのアロマホップです。

2000年にリリースされた品種で、グレープフルーツやパッションフルーツのような香りと、草や大地を思わせる香りが特徴的。

もともと苦味づけのビタリングホップとして使用されていましたが、フルーティーで個性的な香りが注目され「アメリカンスタイルIPA」などでよく使われています。

シトラ

「シトラ」は、アメリカのアロマホップです。

グレープフルーツやライムのような柑橘系の香りと、パッションフルーツやベリーのようなフルーティさが特徴的。

この複雑な香りは、ドイツやイギリスなど、さまざまなホップの交配によるもの。「IPA」や「ペールエール」など、香りを特徴としたクラフトビールで使われています。

モザイク

「モザイク」は、アメリカのアロマホップです。

ワシントン州にある世界有数のミントの産地、ヤキマ渓谷で誕生しました。

パッションフルーツを思わせる香りや、柑橘、ハーブ、土などの香りが複雑に絡み合い、まるでモザイク画のようであることが名前の由来です。

2012年にリリースされた新しいホップですが、アロマホップ、ビタリングホップの両方の役割を持ち、クラフトビールで多く使われているホップです。

カスケード

「カスケード」は、アメリカのアロマホップです。

アメリカンクラフトビールの立役者でもあり、柑橘系の爽やかな香りと、フローラルな華やかさが特徴的。

1972年のリリース後、アメリカのクラフトビールの草創期に人気を博した商品で使用され、世界中を魅了しました。

主に「ペールエール」などのエール系ビールで使用され、日本でも、このホップの香りがきっかけで、クラフトビールにハマる人が多いそう。

ビタリングホップ(ビターホップ)

マグナム

「マグナム」は、ドイツのビターホップです。

ビタリングホップの代表格ともいわれ、1980年にドイツでリリースされてから、香りを邪魔しないクリーンな苦味が評判となり、世界中で広く使われるようになりました。

「IPA」などのエール系ビールに使われることも多く、アロマホップと併用することで、メリハリのある苦味を与えることができます。

ヘラクレス

「ヘラクレス」は、ドイツのビターホップです。

苦味成分の含有量も多く、主に苦味づけに使用されますが、フルーティーかつフローラルで、草のような香りも併せ持ちます。

ドイツのエール系ビールに使われることが多いホップでしたが、クラフトビールブームにより「アメリカンIPA」などの、苦味と香りを特徴としたビアスタイルにも多く使われるようになりました。

ノーブルホップ(ファインアロマホップ)

ザーツ

「ザーツ」は、チェコのファインアロマホップです。

ビールとホップの名産地であるチェコの町「ジャテツ(ザーツ)」にちなんで名づけられました。

苦味成分の含有量は低く、クリーンな苦味と、草原のようなフレッシュな香り、スパイシーさが特徴的。

伝統的なホップのひとつで、チェコ発祥のビアスタイル「ピルスナー」で多く使用されます。日本の大手ビールでも、よく使われているホップです。

鮮度が抜群!フレッシュホップ

クラフトビールの人気とともに、日本でもホップ栽培の取り組みが広がり、「フレッシュホップ」を使ったビールにも注目が集まっています。

フレッシュホップとは、収穫後、熱乾燥などの加工をせずに、生のまま使用するホップのこと。

通常のホップは、長期間保存できるように球花を乾燥させたものや、粉砕してペレット状に加工したものが使われます。

乾燥させたホップでは、みずみずしさや生のフレッシュな香りは失われてしまいますが、フレッシュホップは鮮度が抜群!

生のホップでしか表現できない、若草のような爽やかな香りと、優しい苦味が体験できます。

これはホップ畑で収穫してすぐ、地元のブルワリーでつくられる、国産クラフトビールならではの味わいです。

フレッシュホップビールはどこで購入できる?

フレッシュホップを使ったビールは、ホップの収穫に合わせてつくるため、その時期にしか味わえない特別なビールです。

ホップは毎年8月中旬から9月上旬頃に収穫の時期をむかえます。

そこからビールがつくられ、9月下旬から10月以降にフレッシュホップビールの販売が始まります。

ホップの収穫量にも限りがあるため、ビールは数量限定です。

さらに、フレッシュホップビールを醸造しているブルワリーも限られています

日本全国の小規模醸造所と連携しているクラフトビールの販売サイトなら、入荷情報もわかりやすく、鮮度抜群のタイミングで購入できます。

まとめ

クラフトビールブームによって注目度が高まったホップ。

たくさんの種類があり、どのホップを使うかで、ビールの香りや味が大きく変わります。

最近では、クラフトビールの商品ページで、使われているホップの品種が公表されることも増え、飲む前から味の想像ができるようになりました。

お気に入りのホップを見つけると、好きなビールの特徴もわかってきます。

ホップからビールを選ぶことも、クラフトビールの楽しみ方のひとつです。そしてビールの旬ともいえる、フレッシュホップの季節は、年に一度だけ。

ぜひ摘みたての生ホップを使った特別なクラフトビールを体験してみてください!

クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。

売れ筋ランキングでは週間ランキングや、クラフトビールの種類別ランキングが分かり、最近のトレンドが把握できます。これまで知らなかったクラフトビールに出会え、嬉しい発見ができるはず。

またどのビールが自分好みなのかイマイチわからない方のために、「飲み比べセット」をご用意しました。きっとあなたのお気に入りの味が見つかりますよ。

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