昔の農民は夏になると水の代わりにビールを飲んでいた?
そんなちょっとうらやましい起源をもつ夏用ビール「セゾン」の味や香りの特徴、おすすめの銘柄などを解説。
さらに記事の後半では、セゾンビールに合う料理やおつまみ、もっと美味しく飲むためのコツなどについても紹介していきます。
目次
セゾンビールとは
セゾンビールとはビアスタイルの一つ。
世界有数のビール王国であるベルギーを発祥とするエールビールです。
別名夏用ビール?セゾンビールの味や香りの特徴
セゾン(saison)とはフランス語で「季節」という意味。
かつて夏の農作業中に水代わりに飲まれていたことが名前の由来となっています。
そんな別名夏用ビールともいえるセゾンビールの味や香りの特徴は以下の通りです。
フルーティーな香り
セゾンビールは少し複雑なフルーティな香り。
レモンやオレンジなどの柑橘系の香りにスパイシーさが加わって、ほんのりとした酸味も感じられます。
のど越しが良く爽やかな味わい
ごくごく飲めるのど越しの良さもセゾンビールの特徴。
農作業中や仕事終わりに飲まれていたとだけあって、さらりとして飲みやすい爽やかな味わいです。
醸造所によって異なる個性
セゾンは農家の自家製ビールを起源としているため、作り方に明確な定義がありません。
アルコール度数は4~8%代、色調も黄金色からオレンジ、中濃色までと各家庭によってその特徴はさまざま。
かつて水の代わりであったことから「飲みやすさ」という点では共通していますが、それ以外は各醸造所によって異なる個性が楽しめます。
セゾンビールの発祥と歴史
セゾンビールの発祥は、ベルギー南部の穀倉地帯であるワロン地方。
1840年頃エノー州を中心とする農村で、夏の農作業中に水代わりに飲むものとして誕生しました。
水代わりにごくごくビールを飲んでいたなんて聞くと何だかちょっとうらやましくもなりますが、実はこれにはちゃんとした理由があるんです。
今よりも不衛生だった当時、生水は病原菌や寄生虫が潜んでいる可能性がありそのまま飲むのは危険でした。
それに対してアルコール飲料は製造過程で殺菌処理されることから、より安全に飲むことができたんですね。
農家の人たちも同じように「水よりも煮沸したビールの方が安全だ」と考え、特に危険な夏の間だけでも水代わりにビールを飲むようになったというわけです。
セゾンビールの作り方
農家の自家製ビールを起源としたセゾンは、作り方についても特に規定がありません。
ただ、農閑期である冬の間に仕込んで夏の終わりまで貯蔵する必要があったため、当時の人たちは]ホップを多めに使用したり、スパイスを加えたりすることで長期間品質を保つ工夫をしていたようです。
セゾンビールでおすすめの人気銘柄3選
各醸造所で異なる味わいが楽しめるセゾンビール。
そんな個性豊かなセゾンビールの中でも特に人気のおすすめ銘柄を3つ紹介します。
森のたね【3L樽】クロモジセゾン
クロモジという香木で香りづけされたセゾンビールです。
富士山のふもと“ 柚野”にあるブルワリーから見える里山で採集したクロモジを使用。
爽やかかつローズウッドのような華やかな香りがやさしく鼻腔をくすぐります。
>>Fujiyama Hunter’s Beer【3L樽】森のたね クロモジセゾン
遠野麦酒ZUMONA【3L樽】遠野のホップ農家から IBUKI HOP SAISON
遠野産ホップ IBUKI100%で醸造されたセゾンビールです。
フルーティーなバナナの中にスパイシーさも感じられる香り。
酵母由来の香りとIBUKI ホップのやさしい苦味が織りなす、春のように軽快な味わいを楽しんで。
>>遠野麦酒ZUMONA【3L樽】遠野のホップ農家から IBUKI HOP SAISON<季節限定商品>
西陣麦酒【3L樽】室町セゾン
室町時代から紡がれる京都の米麹文化をテーマとしたセゾンビールです。
酵母に京都産の米麹を加えることでホップの香りを最大化。
パッションフルーツや柑橘などのフルーティなアロマと、ホップの苦味のバランスがよくとれた深い味わいが楽しめます。
セゾンビールにぴったり合う料理やおつまみは?
爽やかな味わいとライトな飲み口のセゾンビールは、唐揚げなどの揚げ物や、タレ味の焼き鳥などの濃い料理と相性バツグンです。
一方で、セゾンの風味をしっかり楽しみたいという人はさっぱりとした料理やおつまみと合わせても◎
ささみや青じそ、梅などを使った料理や、サラダやマリネ、チーズなどの軽いおつまみと合わせることでセゾンビールの美味しさが引き立ちます。
セゾンビールがもっと美味しくなる飲み方のコツ
セゾンビールはセゾン特有の香りを引き立てることでさらに美味しく飲むことができます。
まずは基本的なことですが、缶ビールでもきちんとグラスに注ぐことが大切です。
飲み口が広くなるため、缶のまま飲むより香りが立って美味しく感じられますよ。
また、グラスにもこだわるならストレートな天開型の形状がおすすめ。
少し傾けるだけでビールが勢いよく流れ込むため、セゾンの爽快なのどごしを引き立ててくれます。
またキンキンに冷やしてしまうとあまり香りが立たないので、やや冷たいと感じるぐらいの8~10℃前後が適温です。
個性豊かなビールの中からお気に入りを見つけよう
もともと農家の自家製ビールであるセゾンに決まった作り方はありません。
現代でもブルワリーによって作り方や味わいはさまざまですから、ぜひたくさん飲み比べてお気に入りを見つけてみてくださいね。
また、ビールにはセゾン以外にも原料や地域、製造方法の違いなどによってさまざまなビアスタイルがあります。
少しずつ色々なビアスタイルを試してみると自分好みの味が分かって、ビールを飲むのがさらに楽しくなるはずですよ。