「クラフトビールが面白い!」「クラフトビールは奥が深い!」
最近目や耳にする機会が増えた「クラフトビール」という言葉。何が面白いの?奥深いってどういうこと?ちょっと気になる…。
そんな疑問や興味をお持ちの方へ、今日はクラフトビールの「ク」の字とも言える「ビアスタイル」についてご紹介したいと思います。
目次
「ビアスタイル」とは?
ビアスタイルとは、簡単に言うと「ビールの種類」のこと。
麦芽(モルト)・ホップ・酵母・水という、4つの原料によってできあがるビールですが、原料はどれも自然の産物。品種や育つ環境、収穫後の加工の仕方など、各原料にもそれぞれ特徴を持ったたくさんの種類があります。
ビアスタイルは、多様な4つの原料の無限の組み合わせや、ビールが生まれた地域や環境、製造方法の違いなどによって、ビールを分類したもののことを言います。
そんなビアスタイル。世界にはなんと!150種類以上あります。
アメリカのクラフトビール製造業者の組合「Brewers Association(ブルワーズ アソシエーション・醸造家組合)」が”毎年発行”している「2021年度版ビアスタイルガイドライン」には、159のビアスタイルが登録されています(※2021年12月時点)。
”毎年発行”している、というのは、毎年毎年新しいビアスタイルが生まれている、ということ。科学の力も借りながら新しい原料が開発されたり、世界の自由で創造的なブルワー(醸造家)たちが日々新しいビールづくりに挑戦したり、ビールは日進月歩で進化しています。
アメリカなどと比べるとビール市場全体におけるクラフトビールの占める割合はまだまだ小さい日本ですが、国内のブルワリー(醸造所)の数もここ数年で急速に増え、現在(2021年12月時点)は、その数も500を超えました。また、ビール酵母の代わりに日本酒の酵母を使用したビールがつくられたりと、日本のクラフトビールも独自の進化の兆しを見せつつあります。
150種類という数字にちょっとした途方のなさを感じた方もいらっしゃるかと思いますが、まずは有名どころさえ抑えておけば、オールOKです。
数千年というなが〜い時間をかけて、少しずつ広く深くなっていったビールの世界。ビアスタイルを知れば知るほど、そんなビールの世界はきっとどんどん楽しくなります。
大きく分けて2種類!「ラガー」と「エール」の違いって?
150を超えるビアスタイルがある、という話をしましたが、大きく分けるとたったの2つ。
「ラガー」と「エール」に分けられます。(それに加えて「ハイブリッド」や「自然発酵」といった分類もありますが、それはまた別の機会にお話ししましょう)
ラガーとエールの特徴の違いをざっくり表にすると、こんな感じです。
ラガービールをつくるのに使われる「ラガー酵母」は(エールと比べて)低い温度で元気に発酵し、発酵が終わったあとしっかり熟成させた結果、すっきりシャープな、ごくごくと飲めるビールになります。
一方、エールビールは「エール酵母」を使ってつくられます。(ラガーと比べて)高い温度で酵母は元気に発酵し、発酵・熟成時間も短いです。香り豊かで味わい深い、個性的なビールが多いのがエールビールの特徴です。
ちなみに「発酵」とは、酵母が麦汁に含まれる「糖」を食べて「アルコール」と「炭酸ガス(二酸化炭素)」を出す現象のことを言います。ラガー酵母は発酵が進むと酵母が麦汁の下の方に沈んでいくので「下面発酵」、エール酵母は上に浮いていくので「上面発酵」と呼びます。
国内で流通しているビールの大半がラガーの方。大手ビール会社がつくるビールのほとんどは、ラガーに分類する「ピルスナー」というビアスタイルにあたります。
多様な個性を探求!「エール」なビアスタイル7種
ラガーとエールの違いがわかったところで、次はそれぞれの主要なビアスタイルを見ていきましょう。「ここを抑えておけば、ビールは一気に面白くなる!」というスタイルをご紹介します。(写真はイメージです!)
①ペールエール(Pale Ale)
◯発祥の国:イギリス
◯ひとくちメモ:アメリカにおけるクラフトビールブームの火付け役。イギリス生まれのペールエールがアメリカに渡ったことで、味わい深いビールのすばらしさをアメリカの人々が知るきっかけになりました。
◯味わいの特徴:しっかりした苦味とモルトの香り。刈草や柑橘を思わせるフルーティな風味。
②インディア・ペールエール(IPA)
◯発祥の国:イギリス
◯ひとくちメモ:日本をはじめ多くの国のクラフトビールシーンで随一の人気を誇るスタイルです。IPAが生まれたのは、18世紀、イギリスが当時の植民地であったインドにビールを船で送る際、到着までの間劣化しないようにと防腐効果のあるホップを大量に入れてつくったことをきっかけに生まれました。IPAはその中でも味わいや製法によってさらに細かなビアスタイルに分かれています。
◯味わいの特徴:ホップの強い苦味と香り、コク。松の木、柑橘を思わせる華やかな風味。
③アンバーエール
◯発祥の国:アメリカ
◯ひとくちメモ:
ペールエールと比べると麦芽を高温で焦がしたものを少し使っているので、明るい琥珀〜褐色をしているのが特徴です。
◯味わいの特徴:
香ばしいモルトの香りとホップの心地よい苦味。カラメルやトーストを思わせる風味。
④セゾン
◯発祥の国:ベルギー
◯ひとくちメモ:水よりも煮沸したビールの方が安全だった昔、ベルギーの農家さんたちは農作業中や仕事終わりに水の代わりにセゾンを飲んでいたんだそう。
◯味わいの特徴:レモンやオレンジといった柑橘の香り。フルーティでスパイシー、ほんのり酸味も。
>>セゾンビールとは?別名夏用ビールの特徴とおすすめの銘柄3選を紹介
⑤スタウト
◯発祥の国:イギリス
◯ひとくちメモ:今や世界を代表するビール「GUINNESS」をつくったギネス社のアーサー・ギネスさんが名前の由来。18世紀当時、麦芽に高い税金がかけられていた中、麦芽に分類されないローストした大麦を使ってつくったのが、この濃くて苦味のあるビールが誕生したきっかけです。
◯味わいの特徴:深入りコーヒーのようなロースト感。チョコレートやナッツを思わせる風味。
⑥ヴァイツェン
◯発祥の国:ドイツ
◯ひとくちメモ:ドイツ語で「小麦」を意味する「ヴァイツェン」。その名の通り、大麦に加えて小麦を50%以上の割合で使用してつくられます。「白ビール」の代表格。
◯味わいの特徴:苦味がほとんどなく、フルーティ。バナナ、クローブ、りんごを思わせる風味。
⑦ベルジャン・ホワイト
◯発祥の国:ベルギー
◯ひとくちメモ:ベルギーのヒューガルデン村が発祥。15世紀生まれでエールの中でも歴史の長いビール。4種の原料に加え、小麦、オレンジピール、コリアンダーシードを使われています。
◯味わいの特徴:フルーティな甘みとスパイシーさのバランス。さわやか。甘みはオレンジピール、スパイシーさはコリアンダーシード由来。
ピルスナーだけじゃない!「ラガー」なビアスタイル7種
「ラガー=ピルスナー」と思われがちなラガービールですが、細かいビアスタイルでいうと実は30種類以上あります。そんなラガービールを代表するスタイルをご紹介します!
①ピルスナー
◯発祥の国:チェコ
◯ひとくちメモ:チェコの都市・ピルゼンで生まれた、世界で最も飲まれているスタイル。日本で飲まれているのは、チェコのピルスナーがドイツに渡ってできた「ジャーマン・ピルスナー」が多いんです。
◯味わいの特徴:スッキリとしたホップの苦味、切れ味のいいのどごし。ホップ由来のレモンやハーブ、モルト由来のパンや穀物のような風味。
②メルツェン
◯発祥の国:ドイツ
◯味わいの特徴:すっきり、クリーン。トーストしたパンのような香ばしい香り。ホップの特徴は弱め。
◯ひとくちメモ:別名、オクトーバーフェスト。日本でも浸透してきたビアフェス「オクトーバーフェスト」で飲まれるビールです。冷却技術がまだなかった時代に、気温が高くなる前の3月(ドイツ語で「メルツェン」)に仕込みを行い、長期にわたって熟成させながら夏の期間に飲まれていたそう。
③ドルトムンダー
◯発祥の国:ドイツ
◯ひとくちメモ:チェコ発祥のピルスナーを参考にドイツの都市・ドルトムントで生まれたビール。金のエビスビールはスタイルで言うとドルトムンダーにあたります。
◯味わいの特徴:ホップの香りや苦味は弱め。口当たりが軽く、マイルドかつドライな味わい。
④シュヴァルツ
◯発祥の国:ドイツ
◯ひとくちメモ:日本で流通している「黒ビール」の多くがシュヴァルツに当たります。ドイツが誇る文豪・ゲーテもこよなく愛したんだとか。
◯味わいの特徴:クリーンですっきり。ほのかにチョコレートやコーヒーを思わせる味わい。
⑤ボック
◯発祥の国:ドイツ
◯ひとくちメモ:ドイツ伝統のハイアルコールビール。色は濃いめのものが多いです。「ボック」はドイツ語で「ヤギ」の意味もあるので、ラベルにヤギが書かれていることが多いのも特徴です。
◯味わいの特徴:ホップの特徴は弱く、モルトの特徴が強い。モルトが生み出すトーストやナッツのような風味が特徴。
⑥ラオホ
◯発祥の国:ドイツ
◯ひとくちメモ:「ラオホ」はドイツ語で「煙」という意味。その名のとおり、ブナの木でスモークしたモルトを使った燻製ビールです。
◯味わいの特徴:焼いたハムやベーコンとも表現される燻製の香り。ほのかな甘み。
⑦インディア・ペール・ラガー(IPL)
◯発祥の国:アメリカ
◯ひとくちメモ:IPAの流行に端を発してアメリカで生まれたスタイル。ラガーらしい爽やかさとホップの華やかさが両立しています。
◯味わいの特徴:爽快な飲み心地。クリーンな中に際立つホップの華やかな香り。
自分の好みのビールを探してみよう!
主要なビアスタイルをご紹介しましたが、気になるものはありましたでしょうか?
味わいの違いはもちろん、発祥のストーリーもビアスタイルを知る上で楽しいポイントだったりします。
長い船旅の間においしいビールが飲みたいとホップを大量投下した結果「IPA」ができたり。
高い税金を逃れようとローストした大麦を使いギネスさんが「スタウト」を創ったり。
「ビール純粋令」という法律により4種の原料以外使えなかったがために、モルトを燻製するというオリジナリティが発揮され「ラオホ」が生まれたり。
気候や政治、時代といったさまざまな制約がある中で「それでもおいしいビールを飲みたい/つくりたい」という人類の素直な欲求や探究心によって、少しずつビールの歴史は形づくられてきました。その歴史の上に、今日の多様で美しいビールシーンがあります。
最後に、今回の記事でビアスタイルを知ったあなたへ、お気に入りのビールを見つけるおすすめの方法をひとつ、ご紹介しますね。
①いろんなスタイルのビールを飲み比べてみる
②気に入った1つのスタイルでいろんなブランドのビールを飲み比べてみる
③はじめてのビアスタイルやオススメされたビールも試してみる
そうは言っても、ビールはとっても自由な飲み物です。ここに書いたおすすめの方法も全く無視していただいてもOKです。
自分の五感に素直になって、自由に、いろんなビールを楽しんでみてください!この記事を読んでくださったあなたが、お気に入りの1杯に出会えることを心よりお祈りしています!
好みのビアスタイルを、好きな場所で、「樽生」で!
国内最大級のクラフトビール専門のポータルサイト「ビールの縁側」では、様々なビアスタイルを気軽に楽しむことができます。
「ビールの縁側」は、「クラフトブルワリーとビールファンをつなぐ」をコンセプトに、日本各地のブルワリーから専用樽に詰められたビールが直接届く産地直販型通販サイト。
約250種類*の銘柄が揃い、その時々で出品される銘柄が異なるため、毎回新しいビールと出会える可能性があります。
*ブルワリーの出品状況により異なります。
ビアスタイルから探すこともできるので、「種類から探す」のページから、試してみたい・比べてみたいビアスタイルを選んでみてくださいね。
好きな場所で好きなときに、お好きなスタイルのビールを飲む新体験を、ぜひ味わってみてください!
クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。
売れ筋ランキングでは週間ランキングや、クラフトビールの種類別ランキングが分かり、最近のトレンドが把握できます。これまで知らなかったクラフトビールに出会え、嬉しい発見ができるはず。
またどのビールが自分好みなのかイマイチわからない方のために、「飲み比べセット」をご用意しました。きっとあなたのお気に入りの味が見つかりますよ。