ビールは「麦酒」と書かれるように、麦からつくられる醸造酒です。
ビールの原料はいたってシンプルですが、同じ原料を使っていても、酵母が変わるだけで、味や香りが大きく変化します。
同様に、麦芽やホップ、水の違いでも、多彩な味が生み出されるのです。
さらにスパイスやハーブ、フルーツなどの副原料を使うことにより、個性的な味わいもつくられます。
今回はビールの原料に注目して、まだ知らなかった味に出会える、話題のクラフトビールを紹介します。
目次
ビールの主原料
ビールの主原料は「麦芽」「ホップ」「水」「酵母」です。
世界に数多くのビアスタイルがあるように、たったこれだけの原料でも、多種多様なビールを生み出すことができるのです。
ここでは、それぞれの原料が、ビールにどのような変化を与えているのかを見ていきましょう。
水
ビールの原料は、9割以上が「水」です。水質の違いで、ビールの味わいも大きく変わります。
ビール醸造には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を適度に含んだ水が使用され、その総濃度である「硬度」によって、最適なビアスタイルがあります。
一般的に、ミネラル成分を多く含む「硬水」は、ビールの色を濃く、味わい深くする作用があり、ペールエールやダークラガーなどに使われます。
ピルスナーなどの色の薄い、すっきりとしたビールには「軟水」が使われます。
日本の水は、ほぼ軟水であるため、多くの大手メーカーでつくられているピルスナーは、まさに土地に合ったビアスタイルともいえるでしょう。
麦芽(モルト)
「麦芽」とは、麦を発芽させて乾燥したもの。
ビールの原料となる麦芽は「大麦」がほとんどですが、小麦麦芽を使用するビールもあります。ビール醸造では、麦を麦芽にすることに、大きな意味があります。
酵母の発酵によってお酒を製造するには「糖」が必要となりますが、麦のままでは、糖がありません。
そこで、発芽することで生まれる「酵素」によって、麦に含まれるデンプンやタンパク質を「糖」と「アミノ酸」に分解します。
アミノ酸は、酵母が生きるために必要な栄養源であり、ビールの味にも関わっている大事な成分です。
ホップ
「ホップ」は、アサ科のつる性の植物で、松かさ状の「球花」と呼ばれる房をつけています。
ビール醸造には、未受精の雌株の球花だけが使用され、この中にある「ルプリン」と呼ばれる器官に、ビール特有の苦味や香りを生み出す成分があります。
ホップの品種は、ビールの香りや味を左右する重要な要素です。
フローラルな香りや、柑橘系のフルーティな香りなど、ビールにさまざまな個性を与えます。
煮沸工程で添加するタイミングや、使用量によっても、苦味や香りに変化をつけることができます。
>>ホップとは?ビール好きには常識の基礎知識とフレッシュホップについて
酵母
「酵母」は、直径5〜10マイクロメートルの微生物です。
発酵によりアルコールと炭酸ガスを生成し、ビール醸造では大事な役目を果たしています。酵母は、ビールの香りや味わいにも影響を与え、種類によっても大きな違いがあります。
「エール」で使われる上面発酵酵母は、豊かな味わいと香りが特徴です。
「ラガー」で使われる下面発酵酵母は、爽快で飲みやすい味わいです。
ベルギーのランビックのように、野生酵母を使用してつくるビールもあります。
酵母が変わるだけで、まったく違った味わいのビールに仕上がります。
副原料でビールの味を調整する
日本では、酒税法でビールの副原料に使用できるものが定められています。
主な副原料には、麦、米、とうもろこし、デンプンなどがあり、ビールの味を調整する目的で使われます。
副原料は、ビールに特徴のある味を与えることもできます。地産地消をテーマとしたクラフトビールでは、副原料に地元の特産を使い、その土地ならではの味や雰囲気が楽しめるビールもつくられています。
2018年4月の酒税法改正では、使用できる副原料が追加され、果実、コリアンダー、ハーブをはじめ、ユニークなものでは、野菜、食塩、みそ、かつお節など、幅が大きく広がりました。
副原料別!おすすめのクラフトビール
米
「米」は、日本でも古くから使われている歴史のある副原料です。
デンプン含有量が多く、発酵に必要なデンプンを補う目的のほか、すっきりとドライな味わいをつくり出すためにも使用されます。
日本のクラフトビールでは、地元産のブランド米を使った商品も人気です。
ご当地ものとしての楽しみ方だけでなく、和食などの家庭料理にも合わせやすいため、普段飲みのビールとしての飲みやすさもあります。
フルーツ
2018年4月の酒税法改正により、果実もビールの副原料として認められるようになりました。地域活性化に取り組む小規模醸造所では、特産物のフルーツを使ったビールが次々と生み出されています。
フレッシュな果実をたっぷりと使ったクラフトビールでは、ビールと同じ麦芽比率であっても、発泡酒の扱いになる商品もあります。
しかし、大手ビールにはない味わいと飲みやすさで、クラフトビールブームに一役買っている存在でもあります。
(高知カンパーニュブルワリー)【5L樽】ミルクマンゴーヘイジーエール
スパイス・ハーブ
ヨーロッパではポピュラーな副原料が「ハーブ」です。
古代のビールは、多種多様なハーブを原料としてつくられていましたが、中世以降、ホップの登場によりハーブは使われなくなりました。
近年では、ハーブを使ったビールが見直され、復活しています。
特に注目したいのが「エルダーフラワー」です。古くからヨーロッパで愛されているハーブで、甘くフルーティな香りが特徴的。リラックス効果もある人気のハーブです。
(カルテットブルーイング)店舗受取【3L樽】エルダーフラワー エール
コリアンダー
「コリアンダー」とは、日本でもおなじみ「パクチー」のこと。世界のビールでもよく使われている副原料です。
ビール醸造では、種子の部分「コリアンダーシード」を使用します。葉のような独特のクセはなく、爽やかな甘みとスパイシーな香りが特徴的。代表的なビアスタイルは「ベルジャンホワイト」です。
オレンジピールとコリアンダーシードの組み合わせにより、清涼感と華やかな香りを生み出しています。
(NikkoBrewing)【3L樽】Nikko Belgian Beer Deux ~ベルジャンホワイト~
コーヒー
ユニークな副原料として注目したいのが「コーヒー」です。
黒ビールには、コーヒーに似た味わいを持つ黒麦芽などを使用しますが、そこに本物のコーヒーを使うことで、絶妙な香味を楽しむことができます。
コーヒーを使ったビールは、国内外のクラフトビールでもよく見られるビアスタイルです。
小規模醸造所と有名なコーヒー店がコラボしたビールも登場するようになり、流行に敏感なビアギークの間では、要チェックのビールです。
(HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING)【3L樽】ニカラグアコーヒースタウト
まとめ
ビールの副原料は、酒税法の改正で使用できる種類が増え、ビールの味も多様化しました。
その土地ならではの原料を使った個性的なクラフトビールは、地元を盛り上げる商品として、地域のイベントや、お土産、ビアフェスなどでも存在感を増しています。
近年では、廃棄パンや台風で被害にあった果物など、食品ロスに向き合うアップサイクルビールに取り組むブルワリーも増えています。
クラフトビールは原料の数だけ、バリエーションも無限大。ブルワーのアイディアによって、日々進化しています。
新着商品ページの一覧をざっと見るだけでも、最新トレンドがつかめるでしょう。
普通のビールにはない美味しさがあるのが、クラフトビールの魅力です。ぜひ新しい味を見つけてみてください!
クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。
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