ビールは日本だけではなく、ドイツやベルギー、アメリカなど、世界各国で愛され飲まれています。
そもそもビールの発祥は海外であり、日本はビール醸造ではかなり後発の国です。
そんな日本と海外のビールには、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、日本と海外のビールの違いや世界におけるビールのシェア率などについて説明します。
目次
日本と海外のビールの違い
同じビールでも、日本と海外では多少違いがあります。
その違いについて、いくつかピックアップして説明していきましょう。
違い①:日本は安い
ドイツ銀行が2017年に実施したビールの価格調査の結果では、世界的に見れば意外に日本のビールは価格が安くなっています。
日本では、500mlのビール1杯が約480円です。
これがノルウェーでは1,100円、シンガポールでは1,000円、香港では870円と日本よりかなり高くなっています。
価格が安いイメージのあるアメリカでも、ニューヨークでは1杯830円もします。
「水よりビールの方が安い」といわれるチェコやドイツに比べるとさすがに高いのですが、日本の生ビールは世界水準で見ればそれほど高くないのです。
参照元:
こんなに違う! 世界各地の1杯のビール代 —— ドイツ銀行が調査|BUSINESS INSIDER
違い②:飲みやすい
海外のビールと比較して、日本のビールは総じて飲みやすくできています。
日本の大手ビールメーカーが造るビールは、ほとんどが下面発酵のピルスナータイプです。
ピルスナータイプのビールはクセがあまりなく、のど越しのよさが特徴になります。
また各社研究を重ねているので、より日本の気候にマッチした味わいに進化させています。
これが日本のビールの飲みやすさにつながっているのでしょう。
最近では、日本のクラフトビールを取り扱う店舗も増えてきました。
ドイツやベルギーのビアスタイルのものでも、国内で造られていることによって、日本の風土に合った繊細で飲みやすいビールになっています。
違い③:料理に合う
日本のビールはクセが少なく飲みやすいので、どんな料理にも合わせられるのが特徴です。
海外のビールでクセの強いものは、合わせられる料理を選んでしまいます。
しかし日本の生ビールでは繊細な和食でも料理の邪魔をしませんし、洋食や中華ではビールが油を洗い流してサッパリさせてくれます。
エスニックや韓国料理、チーズなどのおつまみにもよく合い、まさにオールマイティな働きをしてくれますよ。
世界におけるビールのシェア率について
2018年の世界のビール総生産量は、約1億9,110万キロリットルでした。
生産量と国別の消費量は、どちらも1位が中国で約20%、2位がアメリカで約12%、3位がブラジルで約7%となっています。
上位3カ国で世界の約3割のビールを生産し、消費しているという計算になりますね。
その中でも中国は2002年からずっと1位となっており、生産も消費も圧倒的な量となっています。
日本はどちらのランキングも7番目で、世界全体の3%弱です。
これが、国民1人当たりのビール消費量になると少し様子が変わってきます。
生産量と消費量が上位の国は姿を消し、1位チェコ、2位オーストリア、3位ドイツとビール伝統国といわれる国々が上位を占めています。
日本は1人当たり約40リットルと、世界では52位。
一方、26年連続で1位のチェコは1人当たり約192リットルと、日本とは5倍近い差があります。
本場・ドイツのビールとの違い
日本とドイツのビールの違いはさまざまありますが、大きく分ければ次の通りとなります。
原材料の違い
ドイツでは、1516年に「ビールには大麦、ホップ、水のみを使用すべし」とする「ビール純粋令」という法律が発令されました。
ドイツの醸造所の多くはビールの品質を守るため、法が適用されないビールでもビール純粋令に従って造っています。
日本の大手ビールメーカーでは、米やコーン、スターチ(でんぷん)などの副原料を使用したビールが多く醸造されています。
歴史の違い
日本でビールが醸造されはじめたのは、明治維新前後のことです。
一方ドイツには、1000年前からビールの醸造所がありました。
ちなみに現存している最古の醸造所「ヴァイエンシュテファン醸造所」は、1040年の創業です。
また、2000年以上前からビールが造られて飲まれていたという記録もあります。
種類の違い
ドイツでは、昔から多種多様なビールが各地方で造られていました。
日本でも最近ではさまざまなビールが造られはじめましたが、まだまだピルスナータイプのラガービールが多くを占めています。
日本のビールが海外に愛される理由
日本のビールは、海外でも愛されています。
考えられる理由として、次の事柄があげられます。
飲みやすく品質が安定している
日本のビールは、飲みやすく味のバランスのよいビールがたくさん造られています。
とくに大手メーカーのつくるものは品質が安定しており、味のばらつきがありません。
これが海外から見て「スッキリして飲みやすい」「しっかりとしてコクがある」「いつ飲んでもおいしい」と感じられている要因といえるでしょう。
クラフトビールのレベルが高い
全国各地の小規模醸造所で造られるクラフトビールも、海外の方に人気があります。
世界各国の品評会で賞を取るビールも多く、その品質が世界に認められている証しといえますね。
歴史的にはまだまだですが、海外のビールをよく研究し、繊細なセンスで造られるさまざまなビールは、各国のビール好きも認めるおいしさです。
海外に負けない!おすすめの日本クラフトビール5選
ここで、世界の品評会でも認められた品質の高いクラフトビールを5種類紹介します。
なお、下記のコラムでもおすすめのクラフトビールや話題の金賞受賞ビールを紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
>>おすすめのクラフトビールランキング!種類や選び方について解説
>>ビール審査会で金賞を受賞したおすすめのクラフトビール5選
おすすめ①:【伊勢角屋麦酒】ペールエール
・こんな方におすすめ
ビール選びに迷っている、クラフトビール初心者の方
・紹介文
伊勢神宮でおなじみ、三重県伊勢市にある「伊勢角屋麦酒」です。
「伊勢ペ」の略称で知られるペールエールは、伊勢角屋麦酒の代表作。
グレープフルーツを思わせる香りと優しい口当たりは、飲みやすく飽きの来ない味わいです。
ビール界のオスカーといわれる「イギリス世界大会」で2大会連続金賞、「インターナショナル・ビアカップ」でも5年連続受賞中と、世界でも認められているビールです。
・詳しくはこちら
>>【伊勢角屋麦酒】ペールエール
おすすめ②:【いわて蔵ビール】レッドエール
・こんな方におすすめ
オーソドックスなビールを探している方
・紹介文
岩手県にある日本酒の酒蔵、「世嬉の一酒造」で造られているビールが「いわて蔵ビール」です。
レッドエールは焙煎された大麦麦芽を使用しているため、きれいな琥珀色をしています。
旨みと苦みのバランスが取れた、絶妙な味わいが特徴です。
2014年に「インターナショナル・ビアカップ」で銀賞、2021年には「ワールド・ビア・アワード」でスタイル別世界最高賞を受賞と、実力も折り紙付きです。
・詳しくはこちら
>>【いわて蔵ビール】レッドエール
おすすめ③:【泉佐野ブルーイング】ヴァイツェンボック
・こんな方におすすめ
濃厚でアルコールが強く感じられるビールを飲みたい方
・紹介文
関西国際空港のおひざ元、大阪府泉佐野市にある醸造所が「泉佐野ブルーイング」です。
そこで造られるヴァイツェンボックは、通常のヴァイツェンの1.5倍もの麦芽を使用した、高アルコールが特徴のビールです。
バナナのような香りとハイアルコール独特のねっとりした濃厚なコクが楽しめますよ。
「インターナショナル・ビアカップ2021」では、金賞とカテゴリーチャンピオンを同時受賞しています。
・詳しくはこちら
>>【泉佐野ブルーイング】ヴァイツェンボック
おすすめ④:【今治街中麦酒】はれひめHazyIPA
・こんな方におすすめ
フルーティーなビールが好きな方
・紹介文
「今治街中麦酒」は、その名の通り今治の中心市街地でビールを造っています。
はれひめHazyIPAは、今治市で取れた希少なみかん「はれひめ」を使用したビールです。
IPA(インディアペールエール)というホップの苦みと香りを聞かせたスタイルと、はれひめの甘味と酸味がよくマッチしている爽やかな味わい。
にごりのある見た目は、まるでオレンジジュースを思わせます。
「インターナショナル・ビアカップ2021」のフルーツビアスタイルで金賞獲得と、ビールとしてのレベルの高さも魅力的です。
・詳しくはこちら
>>【今治街中麦酒】はれひめHazyIPA
おすすめ⑤:【横浜ベイブルーイング】ベイピルスナー
・こんな方におすすめ
普段とは少し違うラガービールを飲んでみたい方
・紹介文
「横浜ベイブルーイング」は、2013年に横浜で設立されました。
ピルスナーはチェコが原産のラガー(下面発酵)ビールで、日本の大手ビールメーカーで最も多くつくられているもの。
キレのある爽やかなのどごしが特徴で、とても飲みやすいタイプのビールです。
「ベイピルスナー」は、チェコ産のホップを使って伝統的な製法で造られるなど、こだわりの詰まったビールになっています。
チェコの国際的なビール品評会「ゴールド・ブリュワーズ・シール」でアジア初の金賞に輝くなど、本場にも認められるクオリティを持っています。
・詳しくはこちら
>>【横浜ベイブルーイング】ベイピルスナー
まとめ
ここまで、日本と海外のビールの違いについて説明しました。
日本のビールは総じて飲みやすく、スッキリしたものが多くなっています。
一方海外のビールは、国や地域によってさまざまな製法で造られた、個性の際立ったビールがたくさんあります。
どちらがよいのか、というのは一概にはいえません。
最近では、日本国内でもドイツやベルギーなどで造られるビールを醸造するメーカーが増えてきました。
さまざまなビールを飲んでみて、それぞれのよさを楽しむ、というのもまた面白いのではないでしょうか。
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クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。
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