黒く重厚感のある見た目の「黒ビール」。日本人に馴染みの深い黄金色のビールとは真逆の佇まいの「黒ビール」について、馴染みがない方も少なくないかもしれません。
味わいを想像してみると、「甘い」「苦い」「味が濃い」「クセがある」、他にも「香りが強い」「アルコール度数が高い」「冬に飲むもの」など、さまざまなイメージをもたれることの多い「黒ビール」。
実は、様々なひみつを隠し持った魅力的なビールなんです。
今回は、知っていると今よりちょっとビールが美味しくなる「黒ビール」のお話を深掘りしていきます。
黒ビールはなぜ黒い?その秘密
まずはじめに、ビールの原料についておさらいしましょう。
ビールの主原料は、麦芽(モルト)・ホップ・水・酵母の4つ。中でも「麦芽」はビールの味・香り・色の決め手となる重要な原料です。つまり、黒ビールが黒い秘密は「麦芽」にあります。
それでは「麦芽」について、さらに深掘りしていきましょう。
収穫した大麦を発芽させて麦芽をつくる工程を、「製麦(せいばく)」いいます。この製麦の工程の中に、焙燥(ばいそう)、焙煎(ばいせん) という作業があります。
■焙燥(ばいそう)
芽が生えた麦芽を80℃前後の熱風で乾かし、麦芽の成長を止める作業。この作業のみでできた黄金色の麦芽は「淡色麦芽」と呼ばれ、すべてのビールのベースになります。
■焙煎(ばいせん)
焙煎後、100℃以上の高い温度で麦芽を焦がす作業。ローストとも言われます。
コーヒー用語としても聞き馴染みのある「焙煎」は、ビールをつくる麦芽にも用いる工程なんです。
この焙煎を行うことでできる麦芽が、「濃色麦芽(のうしょくばくが)」。黒く色の濃い麦芽ができあがり、黒ビールにはこの濃色麦芽を使用します。つまり、黒ビールが黒いのは、焦がした麦芽を使っているからなんです。
濃色麦芽はどれも真っ黒というわけではなく、焙煎する温度や時間を変えることで、色にも違いが出てきます。
たとえば、キツネ色の「カラメル麦芽」やチョコレートのような色の「チョコレート麦芽」、真っ黒な「黒麦芽」など、焙煎の仕方の違いで、濃色麦芽にも多くの種類があるのです。
真っ黒なので、濃色麦芽だけを使っているかと思いきや、そうではありません。黒ビールをつくるときでも、濃色麦芽を使う割合は数%〜10%ほど。
そのなかでも、求める味わいを目指すべく焙煎具合の異なる濃色麦芽を使いわけ、配合率を変えることで、多種多様な色や味わいの黒ビールがつくられるのです。
チョコレート麦芽って甘い?
焦がした麦芽=「濃色麦芽」の中にある「チョコレート麦芽」というものがあります。チョコレートと聞くとつい「甘そう」という考えが頭をよぎるかもしれませんが、チョコレート麦芽は色がチョコレート色というだけで、甘くありません。
実際の味わいはというと、香ばしいナッツの風味でほろ苦さを感じます。
バレンタインの時期には、チョコレート麦芽を使った「チョコビール」を店頭で見かけることも。「送りたい相手がチョコレートが苦手」なら、チョコビールのプレゼントにしてみるのもちょっとインパクトがあって印象に残る贈り物になるかもしれません。
黒ビールの中にも様々ある種類
日本では、濃色麦芽を原料の一部に使用した色の濃いビールのことを「黒ビール」と呼んでいます。
ひとくくりに「黒ビール」といっても、大きく分けて4つの種類(スタイル)、「デュンケル」、「シュヴァルツ」、「ポーター」、「スタウト」にわけられます。それぞれ見た目や製法、味わいが違う4つのスタイルは、飲み比べしてみたくなるほどそれぞれの個性が光ります。
①デュンケル(Dunkel)
ドイツ・ミュンヘンで古くから造られているブラウン色のラガー(下面発酵)ビール。
デュンケルはドイツ語で「暗い」という意味です。真っ黒になる手前まで焙煎した麦芽の風味が強く、ホップの香りと苦みは控えめ。口当たりが軽く、まろやかな味わいです。
■「ビールの縁側」で飲めるおすすめのデュンケル
- 石川酒造「多摩の恵デュンケル(3L樽)」「多摩の恵デュンケル(5L樽)」
- 八ヶ岳ビール タッチダウン「デュンケル」
- 泉佐野ブルーイング「デュンケル(3L樽)」「デュンケル(5L樽)」
②シュヴァルツ(Schwarz)
ドイツ・バイエルン地方発祥といわれる黒色のラガー(下面発酵)ビール。
シュヴァルツはドイツ語で「黒」という意味。真っ黒に焙煎した麦芽によるビターチョコレートやコーヒーのような香ばしさがあり、苦みは弱い。色の濃さの割に、すっきりとした味わいです。
■「ビールの縁側」で飲めるおすすめのシュヴァルツ
- 宮崎ひでじビール「月のダークラガー」
③ポーター(Porter)
18世紀はじめロンドンで流行っていたブレンドビールを手本にして生まれた、焦げ茶色から黒色の上面発酵(エール)ビール。ポーターには、やや濃い茶色をしたコクのある味わいの「ブラウン・ポーター」や、黒色でシャープな苦みが特徴の「ロブスト・ポーター」があります。
■「ビールの縁側」で飲めるおすすめのポーター
- Brimmer Brewing「ポーター(3L樽)」「ポーター(5L樽)」
- スワンレイクビール「スワンレイクポーター」
- 南横浜ビール研究所「ポーター」
- 麦雑穀工房「おがわポーター」
④スタウト(Stout)
アイルランド生まれの真っ黒な上面発酵(エール)ビール。
スタウトは英語で「どっしりとした、頑強な」という意味があり、ポーターよりアルコールを強化してつくられたのが起源といわれています。真っ黒になるまで大麦や麦芽を焙煎しているため、見た目も真っ黒で、焙煎した大麦や麦芽の苦みが強く濃厚な味わい。
さらに「スタウト」の中には、香ばしいコーヒーの香りが特徴の「ドライ・スタウト」や、チョコレート香とカラメル香が特徴の甘い味の「スイート・スタウト(クリーム・スタウト)」、牡蠣のエキスを入れてつくる「オイスター・スタウト」などがあります。
■「ビールの縁側」で飲めるおすすめのスタウト
- 結城麦酒醸造「ショコラエール」
- REVO BREWING「KINACO」
- Number Nine Brewery 『Coffee Stout』
- HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING「ニカラグアコーヒースタウト」
- HINOBREWING「クダリスタウト」
- いわて蔵ビール「オイスタースタウト」
- Session’s Brewery「Oyster City Stout」
- 宮島ビール「MIYAJIMA OYSTER STOUT」
「ビアスタイルがたくさんあることは知っていたけれど、黒ビールだけでもこんなに違った個性があるんだ」と思った方も少なくないかもしれません。
製法も、つくられた歴史も、味わいも違う「黒ビール」。クラフトビールの底無しの魅力を改めて感じます。
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