アルトビールはドイツの伝統的なビールスタイルであり、深い風味と歴史を持っています。アルトビールの“アルト”はドイツ語で「古い」を意味するように、数世紀にわたって製造されてきました。
このアルトビールは、上面発酵の製法で造られ、豊かな香りとバランスの取れたモルトの味わいを持ち、ほのかに苦味を感じられるのが特徴です。その歴史的な背景と独自の風味は、多くのビール愛好家にとって魅力的なビールの一つ。
そこで今回は、アルトビールの歴史や魅力に迫ります。
目次
アルトビール(alt beer)の特徴とは?
数あるビールのスタイルのなかでも、アルトビールはドイツの伝統的なスタイルの一つです。ここではアルトビールの歴史や風味などを解説します。
アルトビールの歴史と由来
アルトビールはビール大国・ドイツのビール文化において、重要な位置を占める伝統的なビールスタイルです。その歴史は古く、中世から存在していたと言われています。
アルトビールの名前は、ドイツ語で「古い」という意味の「アルト」が由来です。古いビールではなく、製法スタイルが数世紀にわたって継続的に引き継がれてきたことを表しています。
アルトビールは、主にドイツ西部のデュッセルドルフで地域で生まれました。この地域では醸造技術が発展しており、上面発酵のビールが造られています。
モルトの豊かな風味とバランスが取れたビール
アルトビールは麦芽を主成分としており、豊かなモルトの味わいが感じられます。キャラメルや焦がしのようなテイスト、穀物の風味が特徴的です。モルトの独特な風味は、アルトビールの複雑さを与えてくれるものとなります。
また、アルトビールには適度な苦味がありますが、他のビールスタイルに比べて控えめです。ホップの苦味は、アルトビールの風味にアクセントを与えるだけではなく、アロマホップによる軽い香りも感じられます。
アルトビールは発酵によるフルーティーの香りが感じられるビールです。リンゴやバナナのような果実のニュアンスが感じられることも。アルコール度数は4.5~5.5%です。
アルトビールの製法と伝統
アルトビールは上面発酵により造られるビールです。ここでは、アルトビールの製造方法や伝統文化について解説します。
上面発酵
アルトビールは、上面発酵と呼ばれる発酵方法で造られます。上面発酵は通常15〜20度程度と、比較的温度の高い範囲で行われるのが一般的です。酵母が投入されると発酵を開始し、糖分をアルコールと二酸化炭素に変えます。
発酵が進むと、麦汁の上部に酵母が浮き上がる性質があるため、上面発酵と呼ばれています。
上面発酵の温度は、発酵プロセスと風味に大きな影響を与えるとても重要な過程です。たとえば、高い発酵温度は酵母の活性を促進し、ビールに果実やスパイスのようなフルーティーな風味をもたらします。
一方、低い温度だと、よりクリーンでマイルドな風味が生まれまれるといった違いが出るのです。
また、アルトビールは発酵が完了した後、熟成させるために低温で保管します。この熟成期間は通常数週間から数ヶ月の間、ビールの味わいや風味を安定させ、より複雑さを表す大切な期間です。
ドイツビールの独自スタイル
アルトビールの味わいは、ビールの製造者や地域によって微妙に異なる場合があります。
アルトビールはドイツで古くから製造され、多くの人たちに愛されてきたビアスタイルです。数世紀にわたって、その製法や味わいは守り続けられ、地域ごとに特色が生まれました。
アルトビールの醸造方法は他のビールスタイルとは異なり、特定の酵母と発酵温度の組み合わせによって特徴的な風味に仕上げています。デュッセルドルフ地域はアルトビールの個性を活かしており、他の国や地域ではあまり見られないのが特徴です。
このことから、アルトビールはドイツビールの独自スタイルとして世界中で高く評価され、多くのビール愛好家に愛されるようになった理由がわかりますね。
ドイツの地域的なビールのバリエーション
ドイツの伝統的なビールは、デュッセルドルフやケルンなどの地域で醸造されていますが、それぞれの地域によって微妙なバリエーションが存在します。
デュッセルドルフはアルトビールの発祥の地として、伝統的なデュッセルドルフ・アルトビールを製造。苦味がバランス良く調和しており、キリッとした苦味と爽快な風味が特徴です。
もう一つ、ドイツの代表的なビールは、「ケルシュ」と呼ばれる特別なビアスタイルで、ドイツ・ケルンに製造所があります。ケルシュは明るい黄金色をしており、アルトビールよりもフルーティーな香りと穏やかな苦味が特徴です。
他の地域でもビールが醸造されていますが、それぞれ独自のビアスタイルや名前が存在します。
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アルトビールの飲み方とペアリングのアイデア
アルトビールをさらに美味しく飲むためには、飲み方や相性の良い料理を知ることから始めましょう。
適度な冷たさがベスト
アルトビールを飲むのに適した温度は8〜12度です。適温で飲むことで、ビールの風味や香りが最も引き立ち、バランスのとれた味わいを楽しめます。
また、アルトビールを注ぐ際には、穏やかに注ぐことがポイントです。ビールの泡がしっかり形成されるよう、グラスを斜めに考えながら注ぎ、最後に直立させて泡を作り出します。これにより、香りや炭酸ガスを閉じ込められ美味しさが持続しますよ。
時間の経過ととも温度が上昇することで風味が少しずつ変化するため、いつまでも飽きずに楽しめるでしょう。
ドイツ料理やチーズに合う
アルトビールは豊かな味わいとバランスの取れた特徴を持っており、様々な料理との相性が良いです。
- チーズ:モルトのコクとビターなホップの苦味が、チーズのクリーミーさや濃厚な風味とマッチします。特に、シャープな味わいのあるチェダーチーズやゴーダチーズ、ブルーチーズとの組み合わせがおすすめです。
- ドイツ料理(肉料理):シュニッツェル(カツレツ)やブラウンシュヴァイガー(ドイツソーセージ)、レバーのパテなどです。ドイツ料理との組み合わせはアルトビールのコクとモルトの甘さが、料理の風味と調和しますよ。
また、プレッツェルやピザなど、少し塩味の強い料理にも相性抜群です。
アルトビールをさらに楽しむには
アルトビールをさらに楽しむための方法をご紹介します。まずは国内外でも人気のビアスタイルを知りましょう。
自宅で樽パーティー
2009年頃から日本国内でもクラフトビール人気が高まり、アルトビールを醸造する醸造所が複数存在しています。それぞれ地域によって味や風味が変わるので、自宅で飲み比べするのもおすすめです。
樽ならビールサーバーで注いだ際、きめ細かな泡が出てくるため、缶や瓶と比べてより風味やアロマを感じられるはず。料理に合わせながらお友達同士でワイワイ楽しめます。
また、産直通販サイト「ビールの縁側」では、日本各地のブルワリーから専用樽ビールを購入できます。専用ポンプと「飲ん樽」をセットするだけで、好きなときにいつでも新鮮なビールを楽しめますよ。
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その他のビアスタイルを知る
ビールは様々なスタイルが存在し、それぞれが独自の特徴や風味を持っています。以下に、代表的なビールスタイルをいくつか解説します。
世界のビアスタイル | |
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ビアスタイル | 特徴 |
ラガービール | 世界中で造られている下面発酵のビアスタイルです。 クリアで明るめの色合い、軽めのテイストでやや苦味を感じます。 |
エールビール | ビール愛好家に好まれる上面発酵のビアスタイルです。 色や風味に多彩なバリエーションがあります。 |
ヴァイツェンビール | 上面発酵でフルーティーでスパイシーな風味が特徴です。 |
これらはビアスタイルの一部であり、実際には150種類以上のさまざまなスタイルが存在します。
気になる方は下記をチェックしてくださいね。
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まとめ
アルトビールについて、歴史や特徴をご紹介しました。アルトビールは歴史が長く奥が深いビールで、知れば知るほどいろいろな種類を飲みたくなりますよね。
ビールの縁側では、複数のアルトビールを取り扱っております。その他に、上記で紹介したビアスタイルも豊富です。
一年中楽しめる「飲ん樽」は、9層構造の特殊フィルムで作られたインナーバックで守られているため、中のガスを逃さずいつまでも鮮度を保てる機密性の高い樽構造となっています。(国際特許申請中!)
これを機に、一度樽でクラフトビールを楽しみませんか?
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