「ビールの縁側」ばなし
RIO BREWING & CO.(千葉県)
のはなし
ベルギーと日本、そして世界中へ。
ビールでつなぐ人の円が、広がりのある未来を見せてくれる
味も缶も、ビールは表現したいものを自由に描けるキャンバス
2021年7月、リオ・ブルーイングとして初めての缶商品をリリースしました。ビールは千葉県柏市の醸造所で造ったもの。五反田にあった東京醸造所から、2021年3月に柏の葉に移転したんです。新ブルワリーのフラッグシップとして出したのが、「RISON(ライゾン)」と「TOKYO BAYCOAST IPA(トーキョー ベイコースト IPA)」。
RISONは、「RIO(リオ)」の名を冠したベルギーの伝統的なセゾンスタイルのビールです。ブルワリー名にもなっている「RIO」は私のニックネーム。海外の醸造家に覚えてもらいたくて、発音しやすいニックネームを自分で名乗りだしました(笑)。
TOKYO BAYCOAST IPAは、ホップが香りながらも普段の食事に合わせやすいようにドリンカビリティを重視したIPAです。缶のジャケットは東京の暮らしを支える豊かな東京湾をイメージしています。ビジュアルはもともとうちで働いていたアルバイトのコレガス(※1)とデザインしたもの。ビールって、表現したいものを自由に描けるキャンバスだと思うんです。缶という小さなキャンバスだって使い方は自由。さまざまなアーティストやデザイナーとコラボして、ストーリーを表現できる場として活用していきたいと思っています。
これも、私が理念として大切にしている「ビールや食でつなぐ人の円」の延長上にあることです。私が歩んできた人生は、一期一会からさらに深く踏み込んで、ご縁が次々とつながって円のように広がってきました。そのおかげで、世界中の醸造家や飲食関係者、志を共有する仲間とつながることができて今の自分があるんです。
軸にあるのは、何よりも「ベルギービールが好き」というシンプルな気持ち。
20歳の頃に出合った1本のベルギービール「シメイ・ブルー」でした。フルーツやスパイスが入っていたり、自然発酵など独自製法で造られていたり、ベルギービールの世界は自由で多彩。デザインにも個性があふれています。ベルギービールに魅了されたのをきっかけに、「あの醸造家のビールを広めたい」「このビールに込められた想いを伝えたい」という思いで、買い付けのためにベルギー中の醸造所を訪ね回りました。現地で醸造所を紹介してもらって、朝から晩まで一緒にビールを飲んで、地道に直接交渉を続けて。
中でも忘れられない ”人の円” が、「デリリウムカフェ」の誘致ですね。
ベルギービールをもっとオープンな飲みものにしたくて、ベルギーの首都ブリュッセルで一番有名なデリリウムカフェを日本にそのまま持ってきたいと思ったんです。とはいえ連絡先もわからないので、とりあえず現地で開催中のビアフェスを訪ねたもののブースは責任者不在。仕方なくデリリウムカフェで飲んでいたら経営者陣がビアフェスの打ち上げでお店にやってきて。そこでアルバイトが私のことを伝えてくれて、酔っぱらった状態で商談スタート(笑)。そこからトントン拍子に話が進みました。
やがて、世界に誇れるビールを自分で手掛けたいと思うようになって、2015年に現地法人RIO BREWING&CO.SPRLをベルギーで設立。現地の醸造所に泊まり込みで開発した代表作が、食事に合わせて楽しむために考案した「初陣」です。みなさんのその日の最初の1杯として、そして私にとっては日本人が誇れるビールとして、世界に打ち出していく最初の戦いという決意を名前に込めています。
表現したいもののために酵母を取り寄せ、発酵タンクも設計しました。
日本とベルギーにルーツを持つリオ・ブルーイングが手掛けるのは、ベルギーの醸造所で培ってきた醸造技術をベースにしながら、日本の要素が感じられるジャパンスタイルのビールです。醸造や流通システムが進歩して、さまざまなスタイルのビールが飲めるようになった今でも、日本でクラシカルなベルギースタイルのセゾンを飲める機会は本当に少ないんですよね。
でも、うちならそれを高いレベルで仕上げることができます。
最大の違いは原材料、中でもベルギービール醸造において肝となるビール酵母を自社で直接輸入できることです。通常は中間業者を通して購入するので、どうしても選択肢が限られてしまいます。でもうちは表現したいビールを造るための材料をベルギーから取り寄せることができる。さらに、千葉のブルワリーでは酵母が本来のパフォーマンスを発揮できるように発酵タンクの設計をしています。ベルギーの醸造家に教わったことを活かして。その違いが、ビールの味わいとなって反映されているんです。
もともと新ブルワリーの構想は、2018年に五反田の醸造所をオープンした当時からありました。ただし東京と千葉の2拠点の予定で。ところが、新型コロナパンデミックで大きな方向転換を迫られました。港区など都心を中心に30店舗あまりの飲食店を抱えていたので、家賃だけでも毎月数千万円を軽く超える固定費が消えていきます。このままでは事業の継続そのものが難しくなるし、アルバイトを含めて300人近くもいる大事なコレガス(※1)の雇用、しいては彼らの生活も守れません。そこで東京の醸造所は手放して、千葉に醸造を集中する拡張移転という形に大きく舵を切りました。経営者として、とにかく会社を存続させること、生き残ることを最優先にしました。
緑豊かな田園都市の一角にある柏の葉ブルワリーは、開放感たっぷりのテラスでBBQができて、ファミリーで楽しめるオープンなブルワリーです。大学の専門が建築だったので、出店計画ではその場所でお客様が食事や買い物を楽しんでいる様子を思い浮かべるんですが、ここではビールを思いっきり楽しむイメージができたんですよね。
私たちのチームがビール造りを続けて、世界に届けていくためには、世の中の変化に応じて変わっていく必要もあります。留まっていても航路は拓けません。
やりたいことはたくさんありますが、世界を自由に行き来できるようになったら、海外の醸造家を日本に呼んでコラボ醸造を積極的にしていきたいですね。まずは「ヒューガルデン・ホワイト」や「セリス・ホワイト」で知られるセリス醸造所(※2)、世界最大規模のレビューサイト(※3)で世界一になったこともあるストライセ醸造所などを考えています。
激動の時代を乗り切って未来をつくるために、思い描くロードマップは壮大です。
※1 オランダ語で「仲間」の意味。EVER BREW社内におけるスタッフの呼称
※2 ベルギーのヒューガルデン村を発祥とするベルジャンホワイトエール「ヒューガルデン・ホワイト」の生みの親である、故ピエール・セリス氏がアメリカのテキサス州で1992年に立ち上げた醸造所。現在はセリス氏の娘のクリスティーヌ・セリス氏と彼の孫にあたるデイトナ氏によって再興・運営されている。
※3 2008年、ビールにおける世界最大規模のユーザー参加型レビューサイト「Ratebeer.com」で世界一の醸造所として認められた
取材・文/山口 紗佳
3Lという樽のサイズ感は、親しい間柄の人とくつろぎながら飲むのにちょうどいいんじゃないでしょうか。自社で直輸入したベルギー酵母を使って、RIO BREWINGにしか表現できないビールをフレッシュな状態でお届けしたいと思います。
特定商取引法に基づく表記
企業名 | 販売者:EVER BREW株式会社 製造所:RIO BREWING & CO. |
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所在地 | 販売者:東京都港区三田二丁目14番5号 フロイントゥ三田1005号室 製造所:千葉県柏市正連寺394-3 中央133街区7 |
運営統括責任者 | 菅原 亮平 |
電話番号 | 03-6206-6550 |
メールアドレス | rio-tokyo@everbrew.co.jp |
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【酒類販売管理者標識】 | 販売場の所在地:千葉県柏市正連寺394-3 中央133街区7 販売管理者の氏名:柴田 旭 酒類販売管理研修受講年月日:令和3年9月9日 次回研修の受講期限:令和6年9月8日 研修実施団体名:一般社団法人 日本ボランタリーチェーン協会 |
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