ヘイジーIPAという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ヘイジーIPAとは、イギリス生まれのビアスタイルのうちの一つです。
今回は、ヘイジーIPAをはじめとするIPAの種類や、おすすめのIPAビールについてご紹介していきます。
目次
そもそもIPAとは?
ではまず、ヘイジーIPAの親ともいえるIPAについてご紹介しましょう。
IPAは、イギリス生まれのビアスタイルです。「India Pale Ale(インディアペールエール)」の頭文字を取っており、「アイピーエー」と読みます。ホップをたっぷり使うことで生まれる、苦味や香りの強い味わいが特徴です。
18世紀のイギリスでは、ペールエールというビアスタイルが流行していました。植民地だったインドにもビールを輸出していましたが、当時の輸送方法は船。長い船旅による、品質の劣化に頭を悩ませていました。そこで、防腐効果のあるホップを大量投入するように。これが、IPAの始まりです。
IPAは時を越えて、20世紀後半のアメリカで大ヒットします。そして、世界的なクラフトビールブームの火付け役になりました。
IPAについて、より詳しく知りたい方は下記のコラムをご覧ください。
IPAの種類
ヘイジー IPA
ヘイジーとは、英語で「かすんでいる」「もやのかかった」という意味を持っています。ビールの色が透明でなく、濁って見えることから名付けられました。2017年ごろ、アメリカ北東部のニューイングランド地方で生まれたと言われている、IPAの派生スタイルです。
つい最近まで、IPAの主流はウエストコーストスタイルでした。こちらは苦味が強く、クリアな琥珀色。対してヘイジーIPAは、苦味がかなり控えめです。さらに、ホップの豊かな香りと、まろやかでジューシーな味わいを持っています。
ブリュットIPA
ヘイジーIPAが爆発的にヒットした数年後、アメリカのサンフランシスコでブームになったブリュットIPA。ヘイジーとは対照的な、ドライでキレのある味わいが特徴です。
甘味やまろやかさを抑えるため、麦汁の糖分を極限まで使い切って発酵させています。口当たりはスッキリさわやか。ホップの鮮やかな香りだけを、シンプルに楽しめますよ。
ちなみにブリュット(Brut)というのは、フランス語で「辛口」「甘味のない」という意味。夏にぴったりの、ゴクゴク飲めるIPAです。
ブラックIPA
その名の通り、黒いIPAです。ホップの華やかな香りや苦味はそのままに、焙煎麦芽の香ばしさと苦味をプラス。ふくよかなコクとさわやかさを同時に感じる、ハイブリッドな味わいです。
スタウトやポーターをよく飲む人は、そのさわやかな口当たりに驚くことでしょう。カカオやコーヒーのような芳醇さを持ちながらも、後味は比較的ライト。ホップの風味が全体を引き締めています。
「黒ビールは重たくて、飲み飽きてしまいそう」と敬遠している人にこそ、飲んでみてほしいビールです。
ヘイジー IPAの特徴
外観
ヘイジーIPAの特徴である濁りは、主に2つの理由から生まれます。
1つめは、原料の穀物に含まれるたんぱく質です。一般的なビールの原料は、大麦麦芽。ヘイジーIPAには、小麦やオーツ麦をたっぷり使用します。これらは、大麦麦芽よりも多くのたんぱく質を含んでいます。このたんぱく質がホップのポリフェノールと結びつき、濁りの原因になるのです。
2つめの理由は、酵母です。ヘイジーIPAでは、発酵後の濾過作業を行いません。酵母を残したまま仕上げるため、濁って見えるというわけです。日本酒やワインでも、無濾過を謳ってやや濁っているものがありますよね。
苦味がない
ヘイジーIPAの特徴として、苦味がないことも挙げられます。ビールの苦味は、ホップを麦汁と一緒に煮込むことで生まれるもの。高温で加熱すると、ホップに含まれる成分が苦味へと変化するのです。
ヘイジーIPAの仕込みでは、ホップをほとんど加熱しません。麦汁の煮沸が終わったあと、温度を下げていく工程で投入します。また、温度の低い発酵中にホップを入れる、「ドライホッピング」という手法も取られます。
さらに、原料の小麦やオーツ麦もポイントです。まろやかな口当たりが、苦味を感じにくくしています。
ホップの香り
ヘイジーIPAは、一般的なIPAよりもさらに強いアロマを楽しめます。この華やかな香りにも、先ほどご紹介した「ドライホッピング」が大きく関係しているのです。
ホップの香り成分は、熱によって揮発してしまいます。鮮やかな香りを引き出すには、ホップを加熱しないドライホッピングが有効。ヘイジーIPAでは、大量のホップでドライホッピングを行います。
ドライホッピングに使われるホップは、主にアメリカ産の品種です。シトラス・トロピカルフルーツ・ベリー・メロンなど、さまざまなニュアンスを感じ取れますよ。
ホップについて、より詳しく知りたい方は下記のコラムをご覧ください。
>>ホップとは?ビール好きには常識の基礎知識とフレッシュホップについて
おすすめのIPAビール3選
おすすめ①:(MARCA BREWING)マルカHAZY IPAヘイジ―アイピーエー
MARCA BREWINGは、大阪北堀江のブルワリーです。大手自動車メーカーでカーデザイナーとして働いていた、神谷みずきさんが立ちあげました。
こだわるのは、スタンダードでわかりやすいビール造り。一方で、ユニークな副原料を使い、チャレンジングな商品も展開しています。
HAZY IPAに使用しているホップは、モザイク・シトラ・アイダホ7の3種類です。柑橘やパッションフルーツの弾けるような香りと、白桃や紅茶のようなキャラクターを堪能できます。さらに、オレンジピールを加え、ほろ苦さや奥行きをプラス。ジューシーな香りや、トロリと広がるなめらかな口当たりをお楽しみください。
>>(MARCA BREWING)マルカHAZY IPAヘイジ―アイピーエー
おすすめ②:(今治街中麦酒)はれひめHazy IPA
今治タオルで有名な、香川県今治市。その中心地である今治商店街の一角にあるのが、今治街中麦酒です。地域活性化を目指し、地元の素材を使ったビール造りを行っています。
そんな今治街中麦酒イチオシのビールが、はれひめHazy IPAです。はれひめは、今治で多く栽培されているみかん品種。温州ミカンとオレンジの特徴をあわせ持っています。その果汁を、ヘイジーIPAにたっぷり加えました。
ホップのトロピカルな香りと、はれひめのさわやかな風味がベストマッチ!ジューシーな余韻は、まるでカクテルを飲んでいるかのようです。インターナショナル・ビアカップ2021で、金賞を受賞しています。
おすすめ③:(遠野麦酒ZUMONA)TONO BEER C58 239 HAZY IPA
遠野麦酒は、岩手県遠野市のブルワリーです。1789年創業の老舗造り酒屋である、上閉伊酒造が運営しています。遠野市は、日本有数のホップ産地。近年では、「ビールの里」として知名度が上がり、ホップ収穫祭などのイベントも開催されています。
こちらのHAZY IPAにも、遠野産ホップの「IBUKI」が使われています。IBUKIは、フローラル系の上品な香りが特徴。シトラスやトロピカル系の香りを持つ、アメリカ産のカスケード・モザイク・シトラと組み合わせています。さらに、小麦は遠野産の「ゆめちから」を使用。トロリとした口当たりと、オレンジやマンゴーを思わせるジューシーな甘味が魅力です。
>>(遠野麦酒ZUMONA)TONO BEER C58 239 HAZY IPA
ヘイジーIPAの美味しい飲み方
ヘイジーIPAをさらに美味しくさせる、飲み方のコツもご紹介しましょう。
飲み頃の温度は5~10℃くらい。キンキンに冷えていると、せっかくの香りや甘味を十分に感じられません。グラスに注ぐ少し前に、冷蔵庫から出しておきましょう。温度が上がると、とろりとした濃厚な口当たりも楽しめますよ。
また、グラス選びも重要です。口がやや広めで、グラス内に香りがとどまる形のものがおすすめ。IPAグラス・パイントグラス・チューリップグラスなどをお持ちなら、ぜひ活用してみてください。
まとめ
今回は、ヘイジーIPAの魅力とおすすめ商品をご紹介しました。
アメリカで爆発的にヒットしたヘイジーIPAは、日本でも瞬く間に注目を集めました。苦味控えめでフルーティー。多くの人に愛されるわけが、この味わいに詰まっています。まだ誕生したばかりのビアスタイルなので、これからどのような発展を遂げるのかも楽しみですね。
興味を持った方は、ぜひ一度試してみてください。華やかな香りとなめらかな口当たりが、きっとあなたを新しい世界に連れて行ってくれることでしょう。
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