「とりあえず、生ください!」と言われるほど、日本では、居酒屋などで提供される樽詰めビールを「生ビール」と呼んでいます。
しかし樽詰に限らず、瓶ビールや缶ビールでも、中身が同じ銘柄なら「生ビール」です。
サーバーから注がれるビールは「ドラフトビール」とも呼ばれますが、「生ビール」との違いはあるのでしょうか?
知っているようで、知らなかった「ドラフトビールの定義」から、自宅で美味しく「生ビール」を楽しむ方法まで紹介します。
目次
日本においてドラフトビールと生ビールは同じ
日本のビールの表示では『ビールの表示に関する公正競争規約』で、「ドラフトビール」と「生ビール」は、同一のものと定義されています。
これは過去に起きた「生ビール論争」にあります。熱処理をしない「生ビール」が日本でブームになり始めた頃、酵母の有無をめぐって、どちらが「生ビール」であるかの論争が起こりました。
1979年に公正取引委員会が「生ビール・ドラフトビール」を「熱処理をしないビールのすべて」と定義して公示したことで終結し、「ドラフトビール」と「生ビール」は、同じ意味として扱われるようになったのです。
ドラフトビールとは熱処理をしていないビール
日本固有のルールでは、「ドラフトビール(=生ビール)」は「熱処理をしないビール」のこと
とされています。
かつて日本の大手ビールでは、ろ過によって完全に酵母を取り除く技術がなかったため、熱処理ビールが流通の主流でした。
そのため飲食店では、新鮮なイメージである「生ビール」が宣伝文句になる時代があったのです。
ビールの製造工程では、熟成を終えたビールは、製品化するために酵母を除去して発酵を止め、ビールの品質を安定させます。
この方法は2種類あり、「熱処理」によって酵母を死滅させるか、「ろ過」によって酵母を取り除くことです。
現代の日本の大手ビールでは、ろ過により酵母を完全に除去した、にごりのないクリアなビール「生ビール(非熱処理ビール)」が主流になりました。
>>ビールはどうやってできるの?醸造家が原料やつくり方を解説
海外のドラフトビールの定義
英語の「ドラフト(draft)」は「汲み出す」の意味です。
海外では、その名の通り、樽からグラスに注ぎ出されたものを「ドラフトビール」と呼びます。
日本のように、熱処理の有無は関係ありません。
海外には、樽に「Pasteurized:パストライズド(低温殺菌された)」と書かれた熱処理ビールの樽詰もあります。
熱処理したビールでも、樽出しであれば「ドラフトビール」と呼ぶ国もあるなど、ドラフトビールの定義は、国によってさまざまです。
アメリカにおけるドラフトビール
アメリカでは、樽からグラスに注ぎ出されたビールを「ドラフト・ビア」と呼びますが、瓶や缶の商品にも「ドラフト」という言葉が使われています。
例えば、瓶ビールでありながらも「生ビール」の味わいを実現した、ミラー社の「ミラー・ジェニュイン・ドラフト」などです。
また、熱処理しているビールでも、樽出しであれば「ドラフト・ビア」と呼ぶ場合もあるため、日本のように、ドラフトビールが「生ビール」であるとは限りません。
これには明確な定義はないようです。
ドイツにおけるドラフトビール
ドイツでは、「ドラフト」の本来の意味どおり、樽からグラスに注ぎ出されたビールのことを「ドラフトビール」と呼びます。
樽以外の容器に入った、瓶や缶のビールに対して「ドラフト」と呼ぶことはありません。
「生ビール」の条件もあり、熱処理をしていないことに加え、無ろ過で、酵母が入ったビールであること。ビール大国であるドイツは、ビールの品質を守るための「ビール純粋令」という法律もあるほどで、呼び方にも伝統を守るためのルールがあるようです。
このように、日本と海外のビールには色々な違いがあります。さらに詳しく知りたい方は、下記のコラムをぜひご覧ください。
>>日本と海外のビールの違いについて
熱処理されたビールとは
ビールを熱処理する目的は、殺菌と酵母の働きを止めて再発酵を防ぐことです。
これによりビールの品質を安定させます。
熱処理といっても、高温で煮立てるわけではなく、50〜60℃程度で短時間加熱殺菌するもので、低温殺菌法とも呼ばれます。
これは19世紀に考案された殺菌法で、現代では牛乳などの製造にも広く使われています。
酵母をろ過した生ビールと熱処理ビールでは、基本的に味の差はないともいわれますが、昭和の時代から愛されている熱処理ビール「ラガービール」などの銘柄は、味に重みがあると根強いファンが多いようです。
家で美味しい生ビールが飲みたいなら
大手ビールでは、酵母をろ過したクリアな生ビールが主流ですが、クラフトビールでは、酵母を残した無ろ過ビールも注目されています。
「無ろ過の生ビール」は、あえて酵母を残すことで、酵母由来の味わいを、そのまま楽しむことができます。
このような幅広い種類の生ビールに出会えるのが、家庭用樽生ビール「飲ん樽」です。
「飲ん樽」の最大の魅力は、自宅でサーバー注ぎ体験ができて、お店のような本格的な生ビールが楽しめること。電源や炭酸ガスボンベも不要で、専用ポンプを取り付けるだけのシンプル構造です。
サブスクや年間契約のビールサーバーとは異なり、欲しい時に必要な分だけ、好きなビールが購入可能。送料込みで料金がわかりやすいところも、おすすめのポイントです。
全国70社以上のクラフトブルワリーから産地直送。
注文を受けてから、つくりたてのビールを「飲ん樽」に詰めて出荷するので、どこよりも鮮度は抜群です。品質管理が難しい「酵母入りの生ビール」も、自宅で美味しく楽しむことができるのです。
まとめ
何気なく使っていた「ドラフトビール」や「生ビール」という言葉。
そこには日本のビールの歴史や、深い意味があることがわかりました。
おなじみのビールでも、パッケージをよく見ると「生ビール(非熱処理)」や「熱処理」「酵母入り」など、そのビールの特徴が書かれています。
店頭で商品を手に取るときは、これらに注目してみると、ビールを選ぶ楽しさも変わってくるでしょう。
美味しいことはもちろん、時代をかけて築かれた歴史と文化があるのがビールです。知れば知るほど楽しくなる、それがビールの魅力なのです。
クラフトビールといっても種類が豊富にあり、ホップの苦味や香りがクセになる「IPA」や、コクの深さが日本人に合う「ペールエール」などさまざまです。
売れ筋ランキングでは週間ランキングや、クラフトビールの種類別ランキングが分かり、最近のトレンドが把握できます。これまで知らなかったクラフトビールに出会え、嬉しい発見ができるはず。
またどのビールが自分好みなのかイマイチわからない方のために、「飲み比べセット」をご用意しました。きっとあなたのお気に入りの味が見つかりますよ。