ドイツの伝統的なビールであるケルシュ。今回はケルシュの特徴や昔ながらの飲み方、同じドイツのビールであるアルトとの違いについて解説していきます。ビール初心者の人にも飲みやすいビールなので、ぜひ目を通してみてくださいね。
ケルシュとは?
ケルシュは、ドイツのケルン地方発祥のビール。
ドイツで作られるビールの中でもケルシュと名乗ることができるのは、「ケルシュ協約」に調印している醸造所で造られたもののみ。
ケルシュ協約は、ケルシュの品質と伝統を守るために1986年に締結されました。原産地、醸造に関する規定はもちろん、ビールを注ぐグラスの形まで決められています。
このことからもわかるように、ケルシュはドイツの伝統的なビールとして親しまれています。
ケルシュの味の特徴
ケルシュの味の特徴は、すっきりとした口当たりとフルーティーな香りです。また、やさしい味わいなので、クセのないビールが好きな方や、ビールがあまり得意ではない人におすすめ。ビール特有の苦味もほとんどありません。
この味わいは、上面発酵酵母を使いながら、下面発酵に近い低音熟成で造られる特別な製法だからこそ。淡い黄金色ときめ細かい泡立ちが、見た目にも美しいビールです。
銘柄によっては酸味や甘味が感じられるものもあるので、飲み比べてみるのもおすすめです。
発祥の国 | ドイツ |
発酵方法 | 上面発酵(エールビール) |
アルコール度数 | 5%前後 |
ケルシュの伝統的な飲み方
前述したように、ケルシュはドイツで伝統的なビールとして親しまれており、その伝統は飲み方にも表れています。
まず、ケルシュは「棒」を意味する「シュタンゲ」という細長いグラスでいただくのが主流です。シュタンゲは、「クランツ」と呼ばれるお盆に乗せて運ばれてきます。
ケルシュを飲みすすめて空になったシュタンゲを置いておくと、新しいビールのおかわりをウエイターが運んできてくれます。飲んだ杯数は、コースターに線を引いてカウントされるので、お会計のときに「何杯飲んだかわからない!」といったことにはなりません。
おかわりを止めたいときは、コースターをグラスにかぶせて蓋をすれば合図になります。
日本でいう「わんこそば」のようなシステムで、ドイツではケルシュを楽しむのです。
ケルシュとアルトの違いについて
ドイツのビールとしてケルシュと対比されることが多いのが、アルト。
ケルシュがケルン地方のビールであるのに対し、アルトはデュッセルドルフで造られています。
ケルシュと同じように、上面発酵酵母を使いながら下面発酵に近い温度で造られますが、一次発酵を終えた後に1か月以上の熟成期間があるため、特徴は大きく異なります。
色は銅褐色で、味わいは濃厚。ホップの香りとすっきりとした苦味が感じられるので、ケルシュと比べるとビール初心者向けの味ではないと言えるでしょう。
とはいえ、似た色のビールの中では飲みやすいので、ビールの新しい扉を開きたいときにはチャレンジしてみるといいかもしれません。
ビールをもっと楽しもう!
以上、ケルシュについてでした。クセがなく初心者でも手のつけやすい味わいのケルシュは、日本の飲食店でも多く取り扱われています。
どんな料理にも合わせやすいので、ぜひ食事のお供にケルシュを味わってみてくださいね。いろんなビールを楽しんで、自分好みの味を見つけてみましょう。