ビール好きの方の間で密かに人気が高い「無濾過ビール(むろかビール)」をご存じですか?
無濾過ビールは、通常のビールとは異なる味や香りを楽しめます。
今回の記事ではそんな無濾過ビールについて、概要や味、香りなどの特徴をまとめました。
保存時の注意点も記載しているので、無濾過ビールに興味がある方はぜひご覧ください。
目次
無濾過ビールとは
「無濾過ビール」は名前の通り、濾過をせずに造られたビールを指します。
通常のビールは製造工程の1つに、「濾過」と呼ばれる工程があります。濁りをなくし、酵母を除去するための工程です。
しかし無濾過ビールは、あえて酵母を残すために濾過をせず製造されます。
酵母を残したことで、無濾過ビールは酵母由来の味わいを楽しめるようになっています。
クラフトビールには、無濾過で造られる無濾過ビールが特に多いです。
無濾過にする理由
無濾過でビールを製造する大きな理由は、酵母を残すことで味や香りが変わるからです。
酵母はビール造りに欠かせないもので、酵母を発酵させることで、糖分がアルコールと炭酸ガスに分解され、ビールができあがります。
そして酵母が分解される時、一緒に生み出されるのが、ビールの「旨み」とも言える副産物。つまりビール造りに使われる酵母とは、ビールの旨みが凝縮されたものなのです。
ビールの旨みが凝縮された酵母を濾過せずに残すことで、無濾過ビールは通常のビールとは異なる味や香りを楽しむことができ、酵母由来の味わいを堪能できます。
無濾過ビールは味が違う?
酵母を濾過せずにビールを造ることで、濾過した時とは味や香りが変わるというお話をしました。
ここからは、通常のビールと無濾過ビールでは、どのように味や香りが変わるのかを詳しく紹介していきます。
コクが増し、フルーティな香りが楽しめる
まずは味について。
無濾過ビールは通常のビールに比べ、風味が豊かで独特のコクがあります。これは酵母由来のものなので、通常のビールにはありません。
また、まろやかでとろみのある味わいも無濾過ビールならではと言えるでしょう。
そして香りについて。無濾過ビールは通常のビールよりもフルーティーな香りが増しています。
味とともに香りも楽しみたい方にぴったりですね。
さらに、味や香りとは関係がないものの、酵母に含まれる旨み成分であるアミノ酸やビタミン、ミネラルも多いので栄養豊富。ドイツでは風邪を引いた時、栄養ドリンクの代わりに無濾過ビールを飲むほどです。
無濾過のビールは見た目も違う
無濾過ビールは、通常のビールとは見た目が異なります。ビールといえば透き通った黄金色を思い浮かべますが、無濾過ビールは濁りがあります。
無濾過ビールの濁りは酵母によるものです。酵母が濾過されずに残っているので、通常のビールと違って目に見え、濁りとして表れます。
無濾過ビールはこんな人におすすめ
では無濾過ビールは、どんな人に好まれやすいのでしょうか?
ここからは、無濾過ビールがおすすめの人を紹介していきます。
味わい深いビールが好きな方
無濾過ビールは、エールビールのように味わい深いビールが好きな方におすすめです。
無濾過ビールの特徴の1つが、独特のコクがあること。
コクがある分、味にも深みが出ていて、日本に多いラガービールの味とは一線を画します。
香り豊かなビールが好きな方
無濾過ビールは、香りの豊かさも特徴的です。
フルーティーで芳醇な香りは、味覚だけではなく、嗅覚でもビールを楽しみたい方にぴったりと言えるでしょう。
お酒を楽しみながら健康にも配慮したい方
無濾過ビールは、酵母が濾過されず残っていることから、アミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富です。このことから、健康志向の高い方に好まれています。
もちろん飲み過ぎには注意が必要ですが、通常のビールに比べてたっぷりの栄養があるので、健康に配慮しつつお酒を楽しみたい方は、いつも飲んでいるビールを無濾過ビールに変えてみてはいかがでしょうか?
無濾過ビールの賞味期限・保管方法には注意
無濾過ビールは、賞味期限と保管方法に注意が必要です。
無濾過ビールは通常のビールに比べて賞味期限が短く設定されているので、できるだけ早めに飲み切りましょう。
また、酵母が濾過されず残っていることから無濾過ビールは、通常のビールに比べて発酵のスピードが早くなっています。このため、冷蔵していないと味が変化してしまう恐れが。
一般的に、無濾過ビールは5℃以下の環境で温度することが推奨されていますので、保管場所には気をつけましょう。
ただし、メーカーによって保存する際の推奨温度が異なる場合があります。保存する前に、一度ラベルをチェックすると確実です。
無濾過ビールの製造方法
無濾過ビールは、ビールの製造過程における「濾過」をしないで作られたビールとお話ししました。
ここでは、無濾過ビールの製造方法について、もう少し詳しく解説します。
はじめに、一般的なビールの製造過程を大きく分けると次の通りです。
①製麦
大麦を発芽、焙燥させ、原料の「麦芽」を作る工程。
②仕込み
「麦芽粉砕」「糖化」「濾過」「煮沸」「熱交換」などの細かな工程が含まれる。ビールの元となる「麦汁」を作る工程。
③発酵
2でできた麦汁を入れたタンクに酵母をまぜ、発酵させる。ビールならではの味わいや香りを生み出す工程。
④熟成
発酵が終わった③を、2週間〜数ヶ月寝かせ、熟成させる。ビールの味わい、香りを調整する工程。
⑤充填
④を経てできたビールを瓶や缶に充填し、製品化する工程。
以上の工程から、②仕込みに含まれる「濾過」の工程をスキップしたものが無濾過ビールです。
こうして見ると、通常のビールと無濾過ビールの製造方法は、ほんの一部しか違いがないとわかります。
それでも味わいや香りには、大きな違いが生まれるんですね。
>>ビールはどうやってできるの?醸造家が原料やつくり方を解説
ちなみに、ビールによっては充填後に「加熱」をすることで酵母を殺菌する場合もあります。
無濾過ビールは、この加熱の工程もありません。
無濾過ビールは生ビールの一種
ビールの中でも特に人気が高い生ビール。「生ビールが一番好き」という方も多いでしょう。
実は無濾過ビールは、生ビールの一種でもあるのです。
生ビールとは、加熱をせずに作られたビールを指しています。
「無濾過ビールの製造方法」の終わりでお話ししたように、無濾過ビールも酵母を殺菌する「加熱」の工程を踏まずに作られます。
このことから、生ビールと同じく加熱をしない無濾過ビールは、生ビールの一種であると言えるんですね。
生ビールといえば、フレッシュで爽やかな味が特徴。同じく生ビールの一種である無濾過ビールも、加熱されているビールに比べてフレッシュな味わいを楽しめます。
無濾過ビールをおいしく飲むポイント
最後に、無濾過ビールをおいしく飲むポイントをご紹介します。
初めて無濾過ビールを飲んだのに、「味がイマイチ…」なんて感じてしまうのは悲しいですよね。
無濾過ビールをおいしく飲むために、以下を実践してみてください。
5℃前後の温度で冷蔵する
ビール酵母は、冷蔵されている時は休眠しているため、味や香りに影響を与えることはありません。しかし、10℃を超えると活動を再開し、味や香りが変化してしまいます。
ビール酵母の活動を防ぐため、無濾過ビールは5℃前後の温度で冷蔵保管しましょう。適切な温度で保管することで、無濾過ビールのおいしさを保つことができます。
ただし、保管温度にメーカーによって保管時の推奨温度は異なるため、ご注意ください。
早めに飲み切る
「無濾過ビールの賞味期限には注意」の項で解説したように、無濾過ビールは通常のビールに比べて、賞味期限が短く設定されています。
あまり長く保管していると酵母の発酵が進み、風味や品質が変化してしまいます。
おいしいものは長く楽しみたくなりますが、味が落ちる前に飲み切ってしまうのがベストです。
まとめ
この記事では無濾過ビールについて、味や香りなどの特徴、保管方法、製造方法、美味しく飲むポイントについて解説しました。
コクや香りがあり、味わい深い無濾過ビール。生ビールのようなフレッシュさも魅力です。
皆さんもぜひ、一度無濾過ビールのおいしさを体験してみてくださいね。
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